悪いのは犬ではない! 飼い主が気をつけよう、お散歩マナー[リード・排泄編]
愛犬とのお散歩、正しいマナーを知らなかったがために「まわりに迷惑をかけていた」なんてことが起きがちです。楽しいお散歩の時間のために、散歩に必要な知識や準備をドッグトレーナーの浅野里実さんによる解説で紹介していきます。
リードの必要性と使い方
そもそも犬にリードを付ける理由は、犬の行動を飼い主が管理し、犬と人間社会の安全を確保するためです。
犬の動きに合わせて伸び縮みする、伸縮リード(通称フレキシブルリード)を使われている方がいますが、使いようによって便利にも危険にもなります。
持ち手部分にストラップがついている伸縮リードもありますが、基本的には持ち手を握るだけで、とっさにリードを短くしなければならない時や、急に引っ張られた時に対応が遅れがちになるため、公道で使うのは安全とは言えません。使用するなら、公園や広場など、伸縮リードを伸ばしてもリードの範囲内に他人や他の犬、自転車や車などの乗り物が来ない場所にしましょう。
動物の愛護及び管理に関する条例の九条で、特例を除いて、犬は公共の場所ではリードをつけて管理することが定められています。
「うちの犬は飼い主のそばを離れないから大丈夫」だと思っても、車が通れる場所、自転車などが通りそうな場所、他の犬や人、猫やハトがいそうな場所でノーリードにすることは重大な事故に繋がりかねません。命を落とす事も考えられます。
ノミ・マダニ予防を忘れずに
ノミやマダニは、犬のお散歩時に着くだけでなく、室内にも生息しています。愛犬の健康を守るために対策は必要不可欠です。
犬のノミ・マダニ駆除薬には2種類あります。フロントライン(※)などの体の外部から駆虫するタイプと、ネクスガードなど犬に食べさせて体の内部から駆虫するタイプです。どちらも、外部寄生虫にかじられてから駆除するものであって、寄り付かせないためではありません。(※フロントラインは寄生虫の駆除と卵のふ化・ノミ幼虫の変態を阻害し繁殖・再寄生を予防する)
ノミ・マダニの予防方法は
・防虫加工素材を使った衣類を着用する
・ペット用の虫よけスプレーをする
・虫よけアクセサリーをつける
などがあります。
また、ノミ・ダニ予防ではありませんが、蚊・あぶ・ハチなどに対応するオニヤンマ君という虫よけ用の「かかし」を使った方法も効果があるとされています。
排泄させていい場所、ダメな場所
犬は、自分の行動範囲での様々な場所に尿をかける行動(マーキング)をします。出来るだけ足を高く上げて柱や壁などに尿をかける事で、大きな犬である事をアピールしていると言われています。自分の情報を他の犬にアピールする機会なので、犬にとってマーキングは正常な行動ですが、なかにはマーキングをしない犬、外で排泄自体が出来ない犬もいるので、ひとくくりにはできません。
犬にとっては、排泄をしてはいけない場所はありません。しかし、人にとっては、見た目や臭いが気になるような場所で排泄されるのは気分が良くありません。例えば自分の家の玄関先で犬に排泄をされたら、私有地の駐車場でされたら、店前でされたら、自分が歩いている道に排泄物の跡が残っていたら……?「嫌だな」と感じる場所は、基本的にはダメな場所なのではないでしょうか。
公園については、地方自治体によって犬が入場できないところがあります。犬が入場できる公園であれば、過ごし方は常識の範囲内でと管理を飼い主に任されています。環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」に記されているように、排泄してしまった場合は、汚す事のないように努める事、というのが現在の共通基準です。
「おしっこのあと水で流す」は正しくない
犬の尿1滴に対して、水で完全に流すには2リットル必要です。ということは、おしっこの後に少し水をかける程度では消えませんし、むしろおしっこの範囲が広がることもあります。誰かがやり始めて、他の人もまねして、今はそれが正しいような風潮になっているだけで、これは清掃にはなりません。「せめて水で薄めましょう」といった見せかけではないでしょうか。
クエン酸をかける方法があるそうですが、かけた場所の動植物に影響がないかどうか、検討する必要があるのではと思います。
犬の糞(ふん)は飼い主が必ず持ち帰り、自宅で捨てます。地面にこびりついてしまった場合などは、水をかけて掃除ができそうなら、掃除をします。
これらの解決策として「トイレトレーニング」があります。排泄していい場所で排泄できるように教える「トイレトレーニング」が上手に出来れば、排泄の場所、回数を管理する事が出来ます。極端に言えば、トイレシーツを持ち歩いてシーツに排泄させる事も可能なのです。
大切な愛犬の安全を守るのは家族である飼い主です。また、犬が人と共生できる社会は、個人の良識によって保たれていきます。これからも愛犬の快適な散歩を守るべく、周りへの気遣いを心がけたスマートな飼い主を目指して行きましょう。
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