犬のしつけ方は?トイレトレーニングは? 基本やポイントを解説

目次
  1. しつけは犬との快適な生活を送るため
  2. しつけは信頼関係を築くためにも必要
  3. 犬と一緒に遊びながらしつけるときのポイント
  4. 正しい犬へのしつけをして幸せに愛犬と過ごそう

 犬にはなぜしつけが必要なのでしょうか?しつけの重要性や、犬にしつけをする際に気をつけること、基本のしつけ方をご紹介します。正しいしつけで愛犬との信頼関係を築きましょう。

 しつけとは、そこで暮らす人たちがともに幸せに暮らすためにルールやマナーを身に付けることです。犬と素敵な生活を送るためには、犬にも人と生活する上でのマナーやルールを教える必要があります。しかし犬には人が決めたルールやマナーを理解することができません。

 犬のしつけとは、人と生活するうえで望ましい行動を犬に教えることです。

 犬のしつけといっても、飼い主と犬との関係で必要となる家庭内でのしつけ(個のしつけ」)と、散歩やお出かけなど公共の場で必要となるしつけ(公のしつけ)があります。個のしつけは、それぞれの飼い主さんの関わり方や家庭内の状況に応じて何を教えるべきかが変わってきます。一方、公のしつけは周囲に迷惑をかけてしまうこともあるため、飼い主の価値観だけに左右されず、社会に受け入れられる行動を飼い主が責任を持って教えなければいけません。

 また犬は、一度習慣化した行動を変えることがストレスになってしまうため、成犬になってからのしつけは難しいといわれます。愛犬がストレスを受けないためにも、子犬の頃から早めにしつけを始めましょう。

家庭内のトイレトレーニング

 トイレトレーニングは犬を迎えた日から行います。

 犬は寝床には排泄(はいせつ)をしない習性があるため、寝床とトイレは離して設置しましょう。サークル内にトイレとクレート(犬用のハウス)を設置することで、物理的にトイレと寝床を区別することが大切です。このような環境で用意してあげれば、犬が自然とトイレの上で排泄するようになります。

犬はやわらかい場所で排泄をする習性があります

 子犬の頃、トイレを一番失敗しやすいタイミングは、サークルの外に出して部屋の中を自由にさせたときです。サークルの中でトイレを覚えたとしても、すぐにそこまで戻って排泄をするのは非常に困難です。

 犬がトイレに行きたくなるタイミングは、食事や水分をとったあと、寝て起きたとき、たくさん遊んだ後。このタイミングの時はサークルの中にいったん戻しましょう。

 また、犬はやわらかい場所で排泄をする習慣があるため、トイレを覚えるまでは絨毯や足ふきマットは敷かず、フロアマットのようなものを敷くと良いでしょう。サークルから出ているときは、トイレもサークルの外に出して部屋の中に置いておくとトイレまで移動しやすくなります。

 失敗した際は、絶対に叱ったり騒いだりしてはいけません。叱られることで、犬は飼い主のいない場所で排泄をするようになったり、飼い犬に対して恐怖心を持ったりするようになります。失敗した際は静かに処理し、消臭スプレーをかけるだけでなく洗剤などで洗浄する必要があります。

 これらのトイレトレーニングを繰り返すうちに、トイレの場所を少しずつ覚えるようになります。ただ、1歳ぐらいまでは完全にトイレを覚えることは難しいため、失敗ばかりに目を向けるのではなく、どれくらい成功するようになったのかを記録し、成長を見守ってあげましょう。

 また、トイレのしつけは散歩中など屋外でも必要になります。散歩に行く際は家で排泄を済ませ、散歩中のトイレは控えるようにしましょう。

犬が安心して楽しめる食事の与え方

 一般的に犬は満腹中枢が鈍いため、与えたら与えた分の食事を食べてしまいます。そのため常に食事を欲しがり、その要求に応えていると肥満になり、要求でほえることが増えてしまいます。

一般的に犬は満腹中枢が鈍いとされるため要注意です

 食事を1日2回に分けて与えるのは人の都合で、犬にとっては1度でたくさんのものを食べるより、回数を分けて食べたほうが楽しみは増えます。そのため、しつけのご褒美や留守番の時は、知育玩具に詰めて遊びながら食べるなど、食事を与える機会を分散させてみましょう。

 また、人の食事中はどうしても匂いなどにつられて食べたくなってしまうため、要求でほえる犬もいます。飼い主と食事する際は、知育玩具などを用いて長時間食事ができるように与えれば夢中になって一人で食事の時間を楽しんでくれます。

 くれぐれも、人の食べ物をねだってきたからと言って与えるようなことはやめましょう。栄養の偏りや、要求のほえが習慣化してしまいます。

ほえるときは

 犬にとってほえることはコミュニケーションの手段で、全てが悪いというわけではありません。犬がほえる理由は、要求、威嚇、恐怖など様々です。

 犬の過剰にほえる声は、近隣トラブルの原因となりやすいため、飼い主の適切な管理と対応、子犬の頃からのしつけが必須となります。特に来客時やインターホンに過剰にほえる問題は、多くの飼い主の悩みの種です。

 インターホンに向かって過剰にほえてしまうのは、来客が来ることへの警戒心とインターホンの音が結びついてしまったからです。子犬の頃からインターホンを聞かせたら大好きなご褒美を与えるなどを繰り返し、インターホンの音に対してよい印象を持たせます。

 また、実際にお客さんが来た際には、お客さんには直接会わせず、リビングなどで知育玩具に大好きなご褒美を詰めて与えてから接客するようにします。

飼い主に注目する

 犬の名前を呼んでも飼い主へ意識を向けてくれなければ、どんなに「オスワリ」、「フセ」といったコマンドを理解していても、飼い主の指示に応じてはくれません。お互いのコミュニケーションを円滑に進めるためには、名前を呼ばれたら、犬の意識が向くように練習しておく必要があります。

コミュニケーションのため犬の意識が向くように練習しておきましょう

 犬の名前を呼んで集中してもらうためには、呼ばれた時には良いことがあると経験させる必要があります。

 犬の名前を呼んで意識を向けたら褒めて、大好きなご褒美を与えましょう。繰り返し練習し、家の中だけではなく散歩中など、様々な場所でも集中してくれるように練習することが大切です。

 犬へのしつけは飼い主と犬が一緒に生活をするうえで必要になってきます。犬と飼い主には上下関係はありません。信頼関係が築けるかが重要です。

社会の様々な刺激に慣れさせる

 犬は生後3週齢~12週齢に社会化期を迎えます。この時期は様々な刺激に慣れやすい時期といわれています。社会化期は12週齢をピークに、それ以降は徐々に恐怖心が強くなり慣れにくくなってきます。そのため、家庭で迎えたその日から知らない人や犬、大きな音、騒音などに慣れさせることで、社会で生活する上でのストレスを軽減することができます。

 獣医師による診察やグルーマーによるトリミングなど、人の社会で生活するためには飼い主以外の人と関わる機会も多いため、子犬の頃から様々な人と触れ合う必要もあります。

かんでいいものと悪いものを覚えさせる

 犬の甘がみは飼い主に遊んでほしいという心理からきています。また、歯の生え替わり時期は歯の付け根がむずむずして、手やものをかんでしまいます。

 では、犬の甘がみは直したほうがいいのでしょうか。

かんでいいものと、いけないものの区別をつけさせましょう

 犬の甘がみは攻撃しているわけではありません。しかし、成犬になってもかみ癖が残ってしまうと、ものを破壊したりトラブルを起こしたりすることもあります。犬にかんでいいものと、いけないものの区別をつけさせましょう。

 犬はかんで遊ぶことが大好きなため、遊びが足りないと様々なものをかんでしまいます。日頃から、ロープなどのおもちゃを使い、引っ張りっこなどの遊びを通して、かみたいという欲求を満たしてあげましょう。人の手や洋服などを噛んできた場合は、すぐにおもちゃを出しておもちゃをかめば遊べることを教えてあげます。

 また、犬がかむと危険なものや、かんでほしくないものは犬に届かないところに置いておきましょう。

体を触ることに慣れさせる

 体のどこを触っても嫌がらないようにしつけましょう。

 触れることに慣れることで、歯磨きや爪切りなどの日常ケアがスムーズに行えます。また、獣医師など家族以外の人に触られても抵抗しないようになります。子犬のころから毎日愛犬と触れ合うスキンシップをすることで、抵抗なく触らせてくれるようになります。

 しかし、無理やり抱っこしたり触ったりすることは、犬にストレスがかかるのでやめましょう。

 触られることが苦手な犬は、一緒にたくさん遊んでエネルギーを発散した後に、抱っこや触る練習をしましょう。暴れてしまったらご褒美を与えながら気を反らせて、抱かれることと楽しいことを結び付けてあげましょう。

 犬は大人になっても遊ぶことが大好きな動物です。散歩だけではなかなか十分な運動ができないため、日頃からおもちゃを使った引っ張りっこなどで、たくさん遊んであげましょう。

 以前は、引っ張りっこをする時に、「最後は飼い主が勝って力ずくでもおもちゃを取り上げたほうが良い」と言われてきました。しかし今ではこの方法は逆にお互いの関係を悪化させることがわかってきました。遊びでは勝ち負けにこだわらずお互い楽しみながら行いましょう。

勝ち負けにこだわらずお互い楽しみながら遊びましょう

しつけのご褒美をあげる

 しつけのご褒美は、好物であればあるほどやる気が出て良い効果が期待できます。

 ご褒美は愛犬に合った適切なおやつと量を守りましょう。与える際は細かく、回数を増やして与え、褒めてあげましょう。

一人遊びができるおもちゃを与える

 犬と遊ぶおもちゃには、「飼い主と一緒に遊ぶおもちゃ」と、「犬が一人であそぶおもちゃ」の2種類があります。

 「犬が一人で遊ぶおもちゃ」は、留守番の時やかまってあげられないときに退屈しのぎになりますが、与えっぱなしにするため、壊れやすいものを与えてしまうと誤食をして危険です。コングなどおやつが詰められるような知育玩具を与えることで、長時間一人で遊んでいられるようになります。

しつけ教室に通う

 犬と人が共存するためには、犬は人のライフスタイルに合わせ、様々なことを学ぶことが必要です。また、その教育をする飼い主も、しつけ方や育て方を学ばなくてはいけません。

 犬を育てる時も人間の子育てと同じように、飼い主がしつけ教室に通うことでしつけ方を学ぶことができます。しつけ教室で同じ犬種や月齢の犬やその飼い主と出会うことで情報を共有できます。

 飼い主だけでしつけの悩みを抱えることは、大きなストレスとなります。素敵な愛犬との生活を送るためにも、しつけ教室に通ってみてください。

 飼い主と犬が快適に生活をするために、しつけは必要です。しつけに遊びを取り入れながら、お互いに楽しく社会のルールや家庭でのルールを身に付けましょう。

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監修者:鹿野正顕先生
スタディ・ドッグ・スクール代表、学術博士。 麻布大学にて人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
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sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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