愛犬を失った、大嫌いな8月 でもその経験が私に“お別れの流儀”を教えてくれた
もともと暑いのは苦手なのに、子供の頃とは比較にならないほどの猛暑が続く8月は、どうしても好きになれません。
年齢的にも熱中症には特に気を付けなければ……。よくニュースなどで注意喚起している「加齢にともない発汗などの体温調節機能も低下」という話。あぁ、これかもしれない……と思うときがしばしばあります。水分補給と適度な塩分補給を心掛けなければなりません。
ワンコも暑さには弱いですよね。熱くなったアスファルトで肉球を火傷してしまったり、外で飼っていらしたために、熱中症にさせてしまったりする飼い主さんもいるそうです。
暑くなると、ただでさえ思考能力が低下してしまい、“うっかり”も多くなってしまいがち。自分にもワンコにも細心の注意をはらわなければなりません。
よみがえる“あの日”の記憶
そんな猛暑の8月を迎えると、また、あの日のことがよみがえってきます。当初はあまりにもショックだったため、前後2~3日の記憶が曖昧で、なかには吹っ飛んでしまった出来事も少なくありませんでした。
でも、丸7年が経ち、病院で迎えたピンとの最期や、動物霊園でピンとお別れしたことなどが鮮明に思い出されます。
これまで何度か書かせていただきましたが、悪性リンパ腫のステージⅤだったにもかかわらず「治る」と信じていた私は、最期、病院で看護師さんから「ピンちゃんが発作を起こしました」と呼ばれてもなお、ピンはよくなると思っていたのです。
無知でした。何に無知だったかというと、ピンの病気や病状だけでなく、“お別れの作法”に無知だったと言わざるをえません。
年齢のわりに、私は、お葬式に出た回数や、家族や知人を見送った回数が極端に少ないのです。自分自身もおかげさまでまぁまぁ健康ゆえ、病院での振る舞いや、お医者さまとのコンタクトなどに疎かったような気がします。
ピンが教えてくれた“お別れの流儀”
でも、ピンとの別れを経験して以来、私はなぜだか、実の父をはじめ、多くの人々との別れを体験しています。そのとき、本当に役に立っているのが、ピンが私に教えてくれた“お別れの流儀”です。
治って我が家に帰ってくると思っていた私は、結局、ピンを病院で死なせてしまいました。最期、ピンは私たち家族を待っていてくれたし、看取ることはできましたが、なぜ、瀕死のピンを入院させてしまったのか。なぜ、「抱いていいですか?」と看護師さんに聞かなかったのか。それだけは後悔してもしきれない悲しすぎるし、ピンに申し訳なさすぎる事柄です。
だから私は、父が亡くなるまでの10日間、積極的に付き添い、最期、意識がなくなっても一人で大声を出して呼びかけました。聴覚は最後まで残る……と聞いたからです。
友人や知人が入院していると聞けば、「今日を逃したら、もう会えないかもしれない」と何をおいても飛んでいきました。なかには、その翌日に旅立った知人もいました。
そして、長期入院をしている方のご家族には、余計なお世話と想いつつ、「退院させてあげたら?」「御自宅で最期を過ごさせてあげたら?」とアドバイスしてきました。もちろん、さまざまな事情が許せば……の話ですが、もしも、そうなさらなかったことで後悔してしまうなら……と、本当に余計だし失礼な助言と知りつつ、お伝えしてきました。
夢でいいからまた会いたい
こうした私の行動は、すべてピンが教えてくれたこと。ピンと別れる前の私には考えられない言動の数々です。
ピンちゃん、私は少し大人になったよ。ピンにますます似てきたハンターや、きっとハンターより大変な想いをしてきたマルといま、過ごしているのも、ピンちゃんのお陰だよ。
大嫌いな7年前の8月。でも、私にはきっと必要だった8月。夢の中でもいい……かわいくて、私のバディであり、かけがえのない存在だったピンに会いたいです。
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