夕刊紙「日刊ゲンダイ」が猫の特集号「ニャンダイ」作ったワケ 予想外の反響も!
「新聞コーナーにこんなものが!」「あぶない。買いそうになってしまった」などと猫好きな人たちがSNSで盛り上がっているのが『日刊ニャンダイ』(定価350円)。夕刊紙『日刊ゲンダイ』の「臨時特別号」として発刊されたものだ。
酒場詩人・吉田類さんへのインタビューや1980年代にブームとなった「なめ猫」の仕掛け人への取材、猫の「にゃんたま」を特集したページや「ネコヨガで免疫力アップ」なる記事まである。
『ゲンダイ』といえば、「エロからテロまで」といわれるように政権批判からスキャンダルまで幅広く扱うメディア。駅の売店で会社員のおじさんが買っているイメージがある。
その『ゲンダイ』から、いかにして『日刊ニャンダイ』が生まれたのだろうか。編集を担当した平川隆一さんに話を聞いた。
「若い女性が面白がって買ってくれている」
きっかけは、外部スタッフのカメラマン・芳澤ルミ子さんから「猫の特別号」を出してはどうかと話があったことだという。すでに他社からは、『ねこ自身』(女性自身/光文社)、『FÑASH(フニャッシュ)』(FLASH/光文社)、『NyAERA(ニャエラ)』(AERA/朝日新聞出版)など、猫を題材にしたムックが出ていた。『ゲンダイ』もこの波に乗っかったかたちだ。
企画が通り、『日刊ニャンダイ』というタイトルも早い段階で決まった。それから半年ほどで作りあげた。芸能文化部の記者である平川さんをはじめ、社内のスタッフは「本業」と並行しながらの作業だった。
狙う読者層は『ゲンダイ』と同様、おじさんたちだ。タレントの壇蜜さんや経済アナリストの森永卓郎さんのインタビューが載っているのも、その年代を意識してのことだろう。
だから、SNSで女性を中心に反響を呼ぶことは予想していなかったと平川さんはいう。
「SNSを見ると、若い女性が面白がって買ってくれているんですね。『初めて夕刊を買いました』とか。これまで『日刊ゲンダイ』を知らない人もいらっしゃったんじゃないかと思います。そういう反応を見るとうれしいですね」(平川さん)
「ゲンダイ」のスピリッツは変わらず
これまで『日刊ゲンダイ』の存在は知っていても、上述したように「おじさんが読むもの」というイメージを抱いている人は多いだろう。おじさん世代ど真ん中の筆者でさえ、そう思う。若い人たちや女性なら、なおさらだろう。それが『ニャンダイ』というかたちになったことで、これなら「おじさんの楽しみ」を味わえそうだと手を伸ばしやすくなったのかもしれない。
「エロからテロまで」といわれる『ゲンダイ』のスピリッツは『ニャンダイ』にも反映されている(さすがに「テロ」はないが)。保護猫を迎えるまでのドキュメント、災害時におけるペットとの避難といった硬めの記事もあれば、ネット上で有名な猫たちのグラビアのようなページもある。
「『ゲンダイ』はゴリゴリの夕刊紙だと思われているかも知れませんが、実は実用的なコラムやグルメのページなんかもあります。『ニャンダイ』も種々雑多な面白そうなことを、バランスを見つつも、全部ブチ込んだという感じです」(同)
まさかの「ひょうたんから駒」
なかでも反響の大きかったのが、吉田類さんが猫ララ(3歳)との暮らしを語ったページ。吉田さんはかつて17年間暮らした猫「からし」を失ったショックが大きかったのか、これまで自身が飼っている猫についてあまり語ってこなかった。
もうひとつは「にゃんたま」のページだ。これは字のごとく「にゃん」の「たま」を撮った写真で構成したもの。SNSでは、このページをアップして「(夕刊紙らしく)ちゃんとエッチなページもありました」というコメントがみられたという。
正確な発行部数は平川さんも「わからない」というが、少なくとも10万部は出ているようだ。「まさに『ひょうたんから駒』というか、社内でも驚かれています」(同)。
予想以上の反響があったため、来年の「猫の日」(2月22日)に向けて新たな『ニャンダイ』が作られる可能性はあるという。
現行の『日刊ニャンダイ』は、3月20日までコンビニなどで買える。
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