娘が選んだ手足の大きな子犬 破壊魔も臆病さも個性と受け入れ7年、大切な相棒になった
子猫を4匹保護した翌年の2014年8月に、保護犬を1匹引き取った。
仕事の縁で保護犬を迎えることに
保護犬といえば、友人が「うちは保護犬じゃないから肩身が狭くてSNSにはアップしていない」と話すのを聞いてハッとした。気にし過ぎなのではと思う一方、そういう空気感もあるのか、と。
私の場合は、ずっとアパート暮らしだったので、犬や猫を飼うこと自体が夢だった。大人になったら郊外の一軒家に住み、子どもが小学生になったら犬を飼おうと考えていた。縁というのは不思議なもので、仕事で保護施設の方と知り合った。この出会いがなければ、シェパードかボーダーコリーを飼っていたと思う。
保護施設で私が選んだのは黒い成犬。大きさも確定しているし、落ち着いているから先住猫たちとも同居しやすいだろう、と考えた。だが、当時6歳の娘が選んだのは、手足の大きな子犬。愛らしいので他にも引き取り手が現れるだろう。
「父さんが選んだ黒い犬にしようよ」と相談していると、スタッフさんから「黒い子は飼い主を独占したい傾向が強いから、猫との同居は難しいかも。娘さんが選んだ子はフレンドリーなので、猫と上手に暮らせるでしょう」というアドバイス。かくして、娘が選んだ子犬が我が家にやってきた。女の子だったので、娘が「ハナ」と名付けた。
お迎えと同時に始まったジアルジア騒動
後日、ケージなど必要なものをそろえて迎えにいくと、汚物まみれになったハナがいた。数日前から下痢をしているとのこと。とてつもなく臭いが、避妊手術から日が経っておらず、しばらくシャンプーはしないほうがいい、とのアドバイス。帰りのクルマでは、臭くて窓を閉められなかった。
「汚くて悪いなぁ」と思いながら、猫を保護したときから通っている動物病院に連れていくと「あれ、今度は犬?」と笑われた。「しかし臭いねぇ、このままじゃ家にいれられないでしょ。軽く洗っても大丈夫だと思いますよ」ということで、一通り検査をしてもらって、下痢の原因は改めて検便することに。
検査結果はジアルジア症。人間にも感染するのがやっかいだ。念のため保護施設にも報告すると、謝られてしまって恐縮だった。多くの命を救おうとすれば、こんなこともあるでしょう。
ジアルジア症との闘いは過酷だった。ちょうど仕事も忙しく、毎晩帰宅後にハナと汚物まみれのケージを洗って、消毒した。獣医が「この子は性格がいいから、いい相棒に育ちますよ」と励ましてくれた。
臆病な性格も個性と受け入れる
ジアルジア症が治ると、ハナは破壊魔と化した。歯が生え変わってかゆいのか、あらゆるものを破壊した。そして、みるみる大きくなった。体重18kg、大きめの中型犬だ。迷惑をかけないようトレーニングに力を入れた。いろいろ調べたけれど、結局のところ子育てと一緒で一つの正解がない。その子にあった方法を探すしかない。
我が家では、隣町に住むトレーナーに定期的に来てもらい、飼い主も一緒にトレーニングしてもらった。トレーニングを始めると、驚いたことに覚えがいい。お座り、伏せ、お手、おかわりはすぐに覚えた。ただ、臆病な性格で人の多い場所は苦手。それも個性と考え、無理をさせないようにしている。
一緒に住んで7年目。ヒゲが何本か白くなってきた。いつも「長生きしろよ」と声をかけている。いつかくるお別れの日まで、大切な相棒と密な時間を過ごしたい。
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