愛猫「チャッピー」に表彰状 15年一緒にいてくれた愛猫と妻の献身に、心から感謝
妻が、肺炎になり入院した。コロナではない。現在制作中の映画の仕上げ作業がなかなかうまく進まず、心労が重なり疲れたのかもしれない。肺の影が消えるまで待つことしかできない。
一人と一匹、チャッピーと過ごす時間が増えた。普段私の布団には入ってこないのに、当たり前のようにもぐりこんで股の間におさまり熟睡している。なかなか寝返りを打てずに困った。妻はこの体勢をいつも維持していたのか。冬でも暑いと言ってオイルヒーターを止めたがる理由がわかった。チャッピーの体温は股の間で高まり、いつも使っている電気あんか以上の力を発揮する。
チャッピーはどこか不安げで、いつにも増して甘えん坊になり、ソファに座れば私の膝(ひざ)に頭を乗せ離れない。
妻とは、コロナ禍なので、差し入れを持って病院に行っても会うことはかなわず、家に戻り、夜、テレビ電話で話をする。当然チャッピーも参加、スマホごしに顔を見せ合う。最初はスマホごしの妻から目を背けていたのだが、時々画面の中をじっと見つめるようになった。どう思っているのだろう? 何かもう少しでスマホを把握しそうな気配がそこにある。
そんな日々の中、突然1枚の表彰状が送られてきた。世田谷の獣医師会からだ。チャッピーが15歳まで元気にいられたことには妻の献身があった、それを称(たた)えると書かれていた。
本当にそうだね、ありがとう、と妻に心から感謝する。そして何より15年も元気に一緒にいてくれたチャッピーにもありがとうと声をかけた。いっぱい話を聞いてもらった。随分と疲れた心を癒やしてもらった。言葉が通じないからこその想像力にあふれた付き合いの素晴らしさをいっぱい味わえたし、チャッピーの向こうに広がる人間の知らない神秘の世界にも少し近づけたと思う。
テレビ電話でチャッピーとともに妻に報告した。妻もとても嬉(うれ)しそうだった。
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