幸せにするつもりが幸せをもらっている 小さなチワワがくれた人生の指針
人と動物との出会いは十人十色。ポールダンサーとして数々のバトルやコンテストで優勝を収め、アーティストのライブツアーやミュージシャンのPV出演など、厳しい世界でプロとして活躍するリリカさん。彼女とティーダ(7歳/メス)との出会いは偶然のようで、実は運命だったのかもしれない。
“あきらめ顔”のチワワと目が合った
「ずっと保護犬を迎え入れたいと思っていました。募集サイトを随時見ていたけれど、ご縁がなくて。だからあの日、ペットショップに立ち寄ったのは偶然でした。ワンコの笑顔が見たくて、ふとのぞいただけだったんです」
そこにたたずんでいたのが、一匹の小さなチワワ。よく見るとこの子だけ価格が下げられている。
「うまく表現できないのですが、“あきらめた顔”をしていました。さみしげな表情でもなく、『見て!見て!』という意思表示もなく、狭いケージの中でただぼんやりと空(くう)を見つめていました」
店員さんに声をかけると「顔が可愛くない。体が小さくて体力がない。だから育てるのに手がかかる。ゆえに価格を下げている」などと言う。
「言葉にできない憤りを感じて、そのまま連れて帰り、私の家族になりました。腹立たしさとこの子を救いたい気持ちがないまぜになっての行動でしたが、『必ず幸せにする』と誓いましたね。結果、今では私のほうがたくさんのハッピーをもらっているのですけれど(笑)」
海遊びの帰りは、いびきをかいて爆睡
名前は「ティーダ」と名付けた。リリカさんの母親の出身地である沖縄の方言で「太陽」という意味だ。「キラキラと輝く、パワーのある子に育ってほしい」という願いが込められている。その思いが受け入れられたと感じたのは、初めて海に連れて行ったときのこと。
「普段はおとなしくて穏やかで、短気でせっかちな私をまん丸のお目目で見守ってくれるいやしの存在。でも初めて海を見せたとき、もう目がイキイキと輝いて。気がつけば脚が絡まるぐらい砂浜を猛ダッシュして、一目散に海へ飛び込んで行きました」
ただ、ティーダは水が得意ではない。
「波がかかるとハッとして、嫌がってこちらへ戻ってくる。でも海を見るとテンションが爆上がりしてまた飛び込んでいく。その繰り返し。ティーダもめちゃくちゃ笑っているし、私もパートナーも大爆笑して。身も心も解放されているんだな、と感じました」
思う存分遊んだティーダは、帰りの車内でおなかを見せて仰向けになり、いびきをかきながら爆睡。
「海からの帰り道はいつもこう。まるで夏休みの小学生ですよね。まぁ、私もパートナーも彼女を犬扱いしていないので、本人も自分が犬だとは思っていないと思います(笑)」
リリカさんとティーダはつねに会話をしている。「お水飲んできて」「了解!」「外に出たいの?」「その通り!」「今はダメよ」「OK」などなど。ティーダも「おなかが空いた」「きれいに食べたから見に来て」「トイレに行ってきます」ほか、つねに思いを伝えに来る。
「言うことを聞かないときは、正面から向き合います。『怒りたいんじゃない。それはやってはいけないこと。だからやめて』と言うと、きちんと理解してくれる。賢いなと思います」
生きる意味を教えてくれる存在
そんなティーダがリリカさんに授けてくれたもの。それは“人生に対する責任感”。
「右手首を疲労骨折して、長期間仕事ができなくなり、気持ちがどん底にまで落ちた時期がありました。でもある日、いつもそばに寄り添ってくれて、私の相談を『ふう〜ん、そう?』と聞いてくれて、ペロペロとなめて慰めてくれるこの子の存在にハッとして」
自分のことばかり考えている場合じゃない。幸福感のある環境でティーダを育てたい。そのために変わらなければと考えるようになったのだ。
「犬と生きることで人生の視点が変わった。私を強くしてくれる、この小さな小さなチワワに心から感謝しているんです」
- Lilika(リリカ)
- 2012年よりポールを始め、数々のポールダンスバトルやコンテストで受賞。2019年NHK紅白歌合戦にて大トリでMISIAのステージにポールダンサーとして業界初出演を果たす。各地でのポールショーのみならず、魅せる身体になる為のトレーニングの指導や椎名林檎x宇多田ヒカル、Official髭男dism、三代目JSBなど人気アーティストのMVやMINMIのツアーダンサーなど国内外多方面で活躍中。Instagram @curlybaby_lilika
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