猫との日常を詠む短歌&エッセイ本「猫のいる家に帰りたい」 付録はちゅ~る用ポチ袋
“猫歌人”の仁尾智さんによる猫の短歌とエッセイを集めた本『猫のいる家に帰りたい』(辰巳出版)が発売された。本の初版限定ふろくには、仁尾さん考案の『ちゅ~る袋』なる、猫用おやつ『CIAOちゅ~る』専用のポチ袋がついていることでも注目を集めている。
出会ってきた猫たちとの13年間が1冊の本に
同書は、猫専門誌『ネコまる』で13年続く連載と、その姉妹誌『猫びより』で3年続く連載をまとめたもので、猫の絵に定評のあるイラストレーター、小泉さよさんがすべてのイラストを書き下した。
仁尾さんは現在、妻と5匹の猫と暮らしている。「育てたというか、関わった猫は39匹」と話す仁尾さんは、夫妻でそれぞれ猫を保護したり、一時預かりボランティアをしたり、子猫から育てたこともあれば、看取った経験もある。
そんな仁尾さんが、出張中に離れて暮らす猫のこと、子猫を保護したときのこと、天国に旅立った猫のこと……など、13年間の猫との暮らしの中で感じた喜びやおかしさ、寂しさが短歌とエッセイになっている。
いくつか見られるのが、保護した猫を新しい飼い主のもとへ届ける日の寂しさを詠んだ短歌だ。
仁尾さんは本のなかで「我が家で過ごしたことを思い出さないくらい幸せに過ごしてほしい、と心から願う」と記しており、猫への深い愛情を感じさせてくれる。
猫短歌が生まれる理由は…
仁尾さんに、同書と猫について聞いた。
――完成した本について、感想を教えてください。
13年前からついこの前までの、我が家の猫にまつわる悲喜こもごもが詰まっているということもあって、やはり感慨深いし、なんだろう……ちょっと愛おしいです。とは言え、単行本化なんて全然考えていなくて、寝耳に水というか棚からぼたもちというか……。イラストを担当してもらった小泉さよさんには、結構な点数を描き下ろしていただいたので、大変だったと思います。
――ふろくの“ちゅ~る袋”考案のきっかけを教えてください。
縦長で短冊みたいだし、猫短歌を載せるにはピッタリ。これなら猫歌人が作る必然性があります。また、猫のいるお宅を訪ねるときに、ちゅ~るをポチ袋みたいなものに入れてうやうやしく渡したほうがかわいいしバカバカしいし、話のネタにもなる。書かれている短歌の話題なんか話してもらえたら最高だなと。
猫のグッズって『ちょっとどうかしている』というくらいがちょうどいい、と思っています。しおりとしてもかわいく仕上がっていて、とても満足です。
――いつから猫の保護をするようになったのですか?
もともと僕より妻がずっと猫に囲まれて育ってきて、僕はそこまでじゃなかったです。結婚後しばらくして、2001年に当時大阪で住んでいたマンションの前に捨てられている子猫(くう)を見つけて、保護したのが最初です。
保護をする、と言っても、我が家はそれほど積極的ではなく「出会ってしまったらやむを得なく」くらいのスタンスなので、積極的に保護活動やボランティアをしている人たちを見ると、本当に頭が下がります。
――仁尾さんにとって猫とはどんな存在ですか?
猫とは……。難しい……。うまく言えないから、いくつも猫短歌が生まれるのでは、と思います。
「猫になりたいとか猫に学ぶとかないです 猫は猫 僕は僕」
「猫はいる 悲しいときにそばにいる 悲しくないときにもそばにいる」
「全肯定し得る猫という存在が僕に自分を肯定させる」
(すべて『弦』第四十九号)
みたいな。
猫への愛しさがこみあげてくる本
最後に、同書の編集担当、辰巳出版の宮田さんに、sippo読者に向けてオススメしたいポイントを聞いた。
「ふふっと笑ってしまう“猫あるある”も、新しいご家族に保護猫を託すときの寂しさも、いつかは訪れる看取りの辛さも、猫との暮らしにまつわる悲喜こもごもが詰まっています。読んでいるうちに猫への愛しさがこみあげてきて、『猫のいる家に帰りたい』と(たとえ家で読んでいても、現在猫と暮らしていなくても)思わせてくれる作品です」
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