犬や猫の繁殖・販売業者への数値規制 議連案を小泉環境相に提出

牧原秀樹衆院議員(手前)から要望を聞く小泉進次郎環境相
牧原秀樹衆院議員(手前)から要望を聞く小泉進次郎環境相

 環境省が検討を進めている犬猫の繁殖・販売業者の飼育環境などに関する数値規制を巡り、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(会長=尾辻秀久参院議員)が3日、業者による犬猫の取り扱いが動物福祉にのっとったものになるよう、独自にまとめた議連案を小泉進次郎環境相に提出した。小泉環境相は「いかに環境省が動物愛護の精神にのっとった対応ができるか、しっかりと作っていく」などと答えた。

 犬猫の繁殖業者やペットショップに関しては、ほとんど身動きできない狭いケージに入れっぱなしで飼育・展示したり、病気をしても適切な診療を受けさせなかったりといった劣悪飼育が社会問題化しているが、動物愛護法にはあいまいな表現しかないため、自治体は悪質業者に対する指導が効果的に行えてこなかった。このため昨年6月に議員立法で成立した改正動愛法には、環境省令により「できる限り具体的な」基準を設けるよう定められた。

 この日は、議連案の取りまとめにあたった、動物愛護法プロジェクトチーム(PT)座長の牧原秀樹衆院議員や議連事務局長の福島瑞穂参院議員、同事務局次長の高井崇志衆院議員ら9人の国会議員が小泉環境相のもとを訪ねた。牧原氏は要望書とともに議連案を手渡し、「(議連案は)議連として議論を積み重ねたもの。(環境省令に)反映をするようお願いしたい」などと要望。福島氏は「ケージの広さや従業員1人あたりの上限飼育数、繁殖回数などの基準についてぜひ、ちゃんとした数値でやってもらいたい」と訴えた。

議連案を受け取る小泉進次郎環境相。左から高井崇志衆院議員、牧原秀樹衆院議員、小泉環境相、生方幸夫衆院議員、福島瑞穂参院議員
議連案を受け取る小泉進次郎環境相。左から高井崇志衆院議員、牧原秀樹衆院議員、小泉環境相、生方幸夫衆院議員、福島瑞穂参院議員

 議連案は50の重点項目からなっており、小型犬のケージの広さは「2平方メートル以上」とし、20分以上の散歩を1日に2回以上行うか「覚醒時間(起きている時間)の50%以上、自由に運動場に出られる状態にしておく」ことなどを求めている。また、適切な世話や掃除が行われるように、従業員1人あたりの上限飼育数を繁殖業者では犬は15匹まで、猫は25匹までなどと規定。頻繁だったり、高齢だったりする出産を制限するため、犬猫とも出産は「生涯に6回まで」などとしている。

 議連案を受け取った小泉環境相は、「私も問題意識を持っており、(動物愛護管理)室長らと何度も議論をしながら、いかに環境省が動物愛護の精神にのっとった対応ができるか、しっかりと作っていこうと話をしている。(議連案をまとめた)ご苦労に一つでも報いることができるように、取り組んでいきたい」と答えた。

 環境省は今春にも具体的な数値を盛り込んだ素案を示す予定で、新たな基準は来年6月に施行される。

太田匡彦
1976年東京都生まれ。98年、東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当した後、AERA編集部在籍中の08年に犬の殺処分問題の取材を始めた。15年、朝日新聞のペット面「ペットとともに」(朝刊に毎月掲載)およびペット情報発信サイト「sippo」の立ち上げに携わった。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』『「奴隷」になった犬、そして猫』(いずれも朝日新聞出版)などがある。

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