ペット同伴避難知らせるステッカー 過去の後悔が開発の原動力に

「ペットと避難中。」の光る防災ステッカー(左)。ステッカーの下は持ち物リスト
「ペットと避難中。」の光る防災ステッカー(左)。ステッカーの下は持ち物リスト

「ペットと避難中。」――。茨城県阿見町の戸田さつきさん(40)が、反射材を使った「光る防災ステッカー」を発売した。災害時に動物を連れて避難する人たちがリュックや車などに貼って、ボランティアらの協力を受けやすくするのが狙いだ。東日本大震災などで思うような支援ができなかった反省から生まれた。

 災害時のペット同伴避難は課題の一つ。避難所で鳴き声などに肩身の狭い思いをしたり、駐車場の車内で過ごしたりする飼い主は少なくない。

 ステッカーは縦約10センチ、横約6センチ。動物の足跡をかたどった「肉球」のイラストとともに、ペットと一緒の避難を知らせる。下には避難時の餌や水、食器などの持ち物リストも付けた。

 ステッカーを認知したボランティアらは「ペットフードは足りていますか」などと手をさしのべやすくなる。

ステッカーを作った戸田さつきさん
ステッカーを作った戸田さつきさん

 きっかけは、大震災での苦い経験だった。愛犬家のボランティアグループとドッグフードやおしっこシートを持ち寄り、避難所になった土浦市の体育館を訪問した。だが、混乱状態の中でどの人がペットと一緒に来たのか、受付の担当者も把握できていない。やむを得ず、体育館の支援物資コーナーに「犬の物資を持っていってください」と紙を貼って呼びかけた。「支援をしに来たのに何もできずに帰った」と悔やむ。

 2015年の常総水害でも、避難者が身を寄せたつくば市の豊里交流センターにドッグフードや毛布を持って訪れたが、「飼い主にほとんど渡せなかった」。一方、センターの駐車場で鹿嶋市の学習塾経営、角新一さん(53)が、大型ワゴン車を無償で開放し、犬を預かる臨時救護所を開設した活動が印象に残った。

 戸田さんは12年、愛犬を交通事故で失い、反射材を使った「光るリード」や雑貨などを開発。客から「光るレスキューステッカーを作ってほしい」と頼まれ、大震災から9年になる3月11日に発売にこぎ着けた。すでに約80人の愛犬家らから注文がある。

「避難者にとってペットは心のよりどころ。ステッカーが、支援の小さな架け橋になれば」と戸田さん。角さんも「素晴らしい取り組みだ」とたたえている。

 ステッカーは680円(税別)。ネット販売(http://www.rumka.net/)。問い合わせは戸田さん(050・3131・0601)。
(佐藤清孝)

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