「ペット用サプリメント」を与える時の注意点は? 獣医師が解説
大切な家族であるペットには、健康で長生きしてほしいもの。飼い主ができることを考えたときに、さまざまな栄養素が補えるサプリメントが気になっている、という方も多いかもしれません。そこで、「ペット用のサプリメント」について、その効果やどのような時にどう与えればいいのかを、プーアル動物病院(東京)院長の小野祐新獣医師に伺いました。
――「犬用サプリメント」「猫用サプリメント」は、獣医師としておすすめできるものなのでしょうか?
サプリメントは、栄養補助食品とも呼ばれ、普段の食事では取りにくい栄養素を補うものです。健康の保持増進を目指すのが前提のため、病気を治したり、予防したりする薬とは位置づけが異なります。薬事法で定められた「薬」とは違うので、効果効用について「これが絶対に良い」とは言えません。
ですが、様々な研究からサプリメントの中には、免疫を高めたり、腸の動きを整えたり、関節をケアしたりするなど、長期的観点でペットの体に良い作用があることがわかっています。体質の弱い部分などをサプリメントで補うのは良いでしょう。
――人間用に販売されているサプリメントを、ペットに与えてもよいのでしょうか?
基本的には、ペット用に作られた専門のサプリメントを与えてください。ペット用は、ペットが飲みやすい形状で、消化に良い、溶けやすいものとなっています。人間用と同じ成分のサプリメントであっても、人間とペットでは摂取量がまったく異なるため、飼い主の判断で勝手に人間用のサプリメントを与えるのは、「肝臓に負担を与える」などの可能性も考えられますのでやめましょう。
――具体的には、どのようなサプリメントが良いのでしょうか?
例えば「関節痛」のあるペットには、グルコサミンが入ったものは良いですね。グルコサミンは関節の動きをなめらかにする、体内で作られる物質ですが、加齢とともに減ってきます。動物病院でお出しするものには、グルコサミンだけでなく、コンドロイチン(関節の痛みを和らげる成分)、ミドリイガイ(抗炎症作用のある成分)、ヒアルロン酸(潤滑作用のある成分)なども含まれているものもあります。
「老化防止」に効くとされているのが、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったサプリメントですね。ペットの認知症に用いられることが多いです。
「おなかの調子を整える」ためにお出しするサプリメントとしては、フェカリス菌が入ったものがあります。人用の整腸剤にも入っている乳酸菌で、生きたまま腸に届き、腸内のpHを下げて善玉菌を増やして、腸内環境を改善されると言われています。
そして、ペットの「基本的な健康維持」のためにはコエンザイムQ10がおすすめです。私はコエンザイムQ10の研究をしているのですが、不足すると、免疫不全、歯周病、高血圧などの病気になりやすいのでサプリメントで補給するのが良いでしょう。
――サプリメントを与える時に注意点はありますか?
サプリメントは飲めば飲むほど健康になるわけではありません。過剰に摂取すると、かえって健康を損なってしまう可能性もあります。また、なかには体にあわない場合もあります。効果を見極めるためにも、しっかりと飼い主さんが日頃の様子をよく観察して、体調の変化をチェックしましょう。
様々な種類のサプリメントがありますので、かかりつけの獣医師に、必要かどうか相談するのがいいでしょう。獣医師の正しい指導のもと、適宜適量与えることは、長期的視点で意味があると思います。
大切な愛犬・愛猫の健康を考えることは、飼い主の責任です。普段から健やかに過ごせる生活環境を整えるのが大前提です。その上で、ペットにあったサプリメントを上手に活用してみてはいかがでしょうか。
- 監修:小野祐新先生
- プーアル動物病院 院長・獣医師。東京・文京区にあるアットホームな動物病院。動物用サプリの臨床研究も行っている。飼い主さんの話をよく聞き、それぞれのペットのライフスタイルに合った獣医療を日々研鑽中。
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