雑種犬「風雅」、災害救助犬試験に一発合格 「保護犬でもできる」
県動物愛護管理センター(徳島県神山町)に保護された後、阿波市の近藤三菜子さんに引き取られた雑種犬「風雅」(オス、推定3歳)が一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)の災害救助犬認定試験を受け、初挑戦で合格した。保護犬の合格は珍しいという。
昨年12月26日、同センターであった訓練のデモンストレーション。風雅はドッグランに置かれた四つの箱の一つに近づいた。クンクンとにおいを嗅いで、激しくほえる。箱の中には職員が隠れていた。その後、別の箱にいた職員の居場所も突き止めた。
殺処分の危機にひんしていた風雅
2017年3月、美馬市美馬町で美馬保健所が設置したオリで捕獲され、センターに収容された。首輪はなく、飼い主も現れず。殺処分の危機にひんしていたところ、同10月に近藤さんに引き取られた。
「一目ぼれ」だったという近藤さん。知人の飼い犬と同じ「風雅」と名付けた。俊敏性に優れる一方、人に慣れて、素直でおおらかな性格。災害救助犬としての適性を見いだされ、1年後、ノイマンドッグスクール(板野町)で訓練を始めた。近藤さんのそばを歩いたり、その場で待ったりと指示通りに動く訓練などを重ねた。昨年3月、センターに収容された犬を対象にした県の災害救助犬の審査に合格。同12月にさらに難しいJKCの試験を受けた。
県認定の災害救助犬の活動は県内を想定しているが、JKCは要請があれば、県外の現場にも向かう。被災地で、がれきに埋もれたり、家屋の下敷きになったりした人を探す役割を担う。
「『保護犬でもできる』と見せられたのでは」
近藤さんは「下の方からのにおいを嗅ぎ取り、ほえる訓練に苦労した」というが、「『保護犬でもできるよ』というのを見せられたのでは。保護犬の中には素質を持った子がたくさんいると思う。そういった子が一頭でも多く活躍できれば」と話す。
18年度、同センターに収容された犬猫は約1370頭。このうち飼い主の元に戻ったのは約190頭、新たな飼い主に譲渡されたのは約310頭。約860頭が殺処分されたという。
(佐藤祐生)
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