2匹の盲導犬 節目の10歳を迎え、それぞれの道へ
視覚障害者のガイド役を担い、パートナーのような、時には我が子のような存在として生活に潤いを与える盲導犬。和歌山県障害福祉課によると現在、県内に4匹がいて、うち2匹が和歌山市内で活躍している。引退の一つの節目となる10歳を迎えた2匹は、引退と現役続行という違う道へ進む。
「メルシー」は引退へ
2匹は、和歌山市西庄の坂井法子さん(61)と暮らすラブラドルレトリバーのメルシー(メス、10歳)と、同市上町の宮地良和さん(70)、真由美さん(62)夫婦のもとにいる同じ犬種のリーベ(メス、10歳)。
メルシーとリーベが訓練された盲導犬訓練所「日本ライトハウス」によると、盲導犬として活躍するのはおおむね2~10歳。引退は盲導犬の足腰や目の状態、病気の有無などを見て決める。健康で元気であれば10歳を超えて活動することもあるという。
メルシーは健康に不安はないものの、「ある程度の年齢にもなったし、好きに歩かせたい」という坂井さんの思いから、同訓練所と相談した上で来年度中の引退が決まった。
坂井さんにとってメルシーは初めての盲導犬。生まれつき弱視で、年齢とともに視力が低下して一人で行動することが難しくなり、8年前からメルシーと暮らす。「人に連れて行ってもらうより、自分のペースで歩けるのがいい」
メルシーが来る前の生活を「1週間のうちに靴を履いたかなあと思う日もあった」と振り返る坂井さん。「でもいまはほとんど毎日、外に出てる。電車にもバスにも乗れます」
引退するメルシーの今後はこれから決まる。坂井さんは「仕方ないけど、もうさびしいです。この子にはありがとうという気持ちだけ。次の場所でもかわいがってもらいたい」とメルシーをねぎらい、今後について「家にいるときは話し相手になってくれる。これからも盲導犬と一緒に生活していきたい」と話した。
「リーベ」は現役を続行
リーベは健康状態に問題がないことなどから10歳での引退が見送られた。
事故で視力を失った宮地良和さんは「目悪かったら外へ出て行けへん。(盲導犬がいれば)どこでも行こうと思えば行ける」と話し、これまで居酒屋やホテル、テーマパークなどに同伴で出かけた。
「一緒にいると退屈しない。子どもみたいに癒やしてくれる」とリーベをパートナー以上の存在に感じていて、盲導犬としての役目を終えた後も最期まで面倒を見たいと希望している。
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