老犬ケアのプロ 全国で10人目のペットケアマネージャー誕生
高齢の犬の介護を手伝ったり、介護予防の方法を飼い主に指導したりする民間資格「老犬介護スペシャリスト」の有資格者、多摩市の平端弘美さん(58)が今月、多摩地域で初めて同資格の上位資格にあたる「ペットケアマネージャー」に認定された。人間と同様に高齢化するペット。介護予防の啓発などに取り組む役割を担う。
老犬のリハビリや預かり事業などを営む「ペットケアサービス レッツ」(東京都江戸川区)で今月13日、平端さんは老犬介護研修を受け、動き回る大型犬の扱いを学んだ。最初はリードを引っ張られたが、徐々に落ち着かせていく。「犬の目線になるために日々勉強です」。老犬介護スペシャリスト認定後も定期的に研修を受ける。
レッツは民間資格を認定する「JAPANペットケアマネージャー協会」の事務局。この日、協会の三浦裕子代表(56)と伊藤みのり理事長(46)から平端さんに、同日付で「ペットケアマネージャー」に認定、という発表があった。
この資格は全国に約200人いる協会認定の老犬介護スペシャリストの資格取得者だけが挑戦できる。介護予防の知識や技術を伝える教室を自分で開き、慣れた飼い主を増やす役割。人間社会と同様、介護に悩む飼い主の相談にも乗る。
資格取得には、老犬をケアした複数の症例を報告書にまとめて審査を受けなければならない。報告書の突き返しと書き直しは日常茶飯事で、平端さんも約1年半かけて認定された。
三浦代表は「スペシャリストの中のスペシャリスト」と言う。三浦代表と伊藤理事長を含め、平端さんは全国で10人目。都内では両氏に次ぎ3人目で、多摩地域では初。近年ペットは家族同然で、一方で動物医療の進歩で長生きするため、老犬ケアの専門家への期待は大きい。
平端さんは普段、多摩市の動物病院で老犬に施術したり、飼い主宅を訪問したりする。もともと犬好き主婦。アニマルセラピーのテレビ番組を見てドッグトレーナーを目指し、14年に個人のしつけ教室を開いた。すると飼い主から老犬関係の相談を多く寄せられた。
「動きが鈍くなった」「目や耳も悪くなり飼い主を判別できなくなってしまった」。自分も老犬手前の小型犬を飼い、「家族」を愛する。数十時間の座学や研修を経て昨春に老犬介護スペシャリストに合格し、今回の取得につなげた。
「ペットがずっと元気で、一緒にいられるように、飼い主とともに介護予防の重要性を広めたい」。平端さんは決意を新たにしている。
(木村浩之)
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