動物と触れ合う「アニマルセラピー」 受刑者らの更生を支援 

モルモットにエサのキャベツをあげる受刑者
モルモットにエサのキャベツをあげる受刑者

 受刑者らの更生支援に、動物との触れ合いで心身を癒やす「アニマルセラピー」や犬などの飼育を取り入れている刑務所や少年院がある。命の尊さを肌身で感じてもらい、自己肯定感や社会復帰への意欲を育むきっかけにしたいという。富山刑務所(富山市西荒屋)でも11月、初めてアニマルセラピーを実施した。

動物と触れ合い「命の尊さ感じた」

 「可愛い」「目、開いてないんだね」。手のひらの上で動く小さなハツカネズミの赤ちゃんに、受刑者から声が漏れた。

手にのせたハツカネズミの赤ちゃんに見入る受刑者
手にのせたハツカネズミの赤ちゃんに見入る受刑者

 同刑務所でのアニマルセラピーには、65歳以上や軽い身体や精神の障害のある受刑者計18人が参加。富山市ファミリーパークの職員が連れてきたモルモットやウサギ、ハツカネズミと触れ合った。

 エサをあげたり、聴診器で心音を聞いたりするうちに表情が和らぐ。「ハツカネズミの小ささに命の尊さを感じた」と受刑者の一人。「癒やしというのがピッタリ。ホッとした」と話した。

 同刑務所では2013年度から、高齢の受刑者らの生きがいづくりを後押しするため、ヨガや歌、英会話などを行う独自プログラムを実施している。アニマルセラピーもその一環。

 受刑者の高齢化と再犯者の多さが、同刑務所を含め全国的に課題になっている。同刑務所によると、昨年度の1日の平均収容人数は330人で、ピークだった10年度(567人)から大幅に減った。一方、刑務所を出所して2年以内に刑務所に戻ってくる受刑者の割合は、16年度には3割近くを占めていた。

ウサギを抱く受刑者
ウサギを抱く受刑者

 再犯防止には出所後の住居や仕事の確保に加え、周囲に溶け込んで暮らせる社会性を養う必要がある。アニマルセラピーがその一助になると着目したという。

 アニマルセラピーの終了後、同刑務所の小林ひろみ・総務部長は「命あるものを大事にしないといけないという人間の本能的なものに気づけたのではないか」と振り返った。「社会にいた時のこと、今後、社会に出た時のことに思いをはせて『早く帰りたい』と思ってくれたら」

感情を落ち着かせる効果など期待

 いち早くアニマルセラピーを導入したのが、官民共同運営の刑務所「播磨社会復帰促進センター」(兵庫県加古川市)だ。2008年から、精神疾患や知的障害のある受刑者を対象に行っている。現在は2年に1回、10人程度が半年間(全12回)、犬との触れ合いやケアを体験する。

 同センターによると、感情を表現することを促したり、調教師とのやりとりで対人関係の築き方を学んだりすることが狙いという。担当者は、社会への復帰に向けて刑務作業以外にも「色々な技や力を身につけることが必要」と話す。

 官民共同運営の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)では、09年から全国で唯一、盲導犬の候補となる子犬の飼育に取り組んでいる。昨年度までに計260人が約60頭の飼育を経験。3カ月間、馬の世話を行う「ホースプログラム」も行っている。

 法務省少年矯正課によると、今年度は全国の7少年院で社会貢献や教育のプログラムとして、預かった捨て犬などの世話を入所者が行う。自己肯定感を高めたり、感情を落ち着かせたりする効果が期待できるという。
(竹田和博)

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