「毎日来て」に応えたい セラピードッグ、入院中の子供を笑顔に

セラピードッグを両手でなで続け「かわいい」とつぶやいた入院中の女の子
セラピードッグを両手でなで続け「かわいい」とつぶやいた入院中の女の子

 ふれあった人の心を癒やすセラピードッグが、大阪母子医療センター(大阪府和泉市)の入院病棟を週1回訪れている。初訪問から来月で3年。当初は2カ月に1度だったが、助成金などで回数は増えた。子どもの「毎日来て」という声に応えたいと、さらなる訪問回数アップを目指し、関係者は寄付を呼びかけている。

 暖かな日差しが差し込む秋の午後。NPO法人日本レスキュー協会(兵庫県伊丹市)のセラピードッグ、チワワの「みわ」と雑種の「バター」が3人のスタッフとともに同センターに「出勤」した。

「手をなめてくれるのがうれしい」。小6の女の子(11)は目を細め、2匹をなでたり、スタッフから手渡されたボールのおもちゃを投げてやったりして15分ほど楽しんだ。心疾患のため、昨年末から入退院を繰り返している。「このときだけは心からの笑顔を見ることができる。娘の頑張りのもとです」と、母(45)は犬たちに感謝する。

 3歳の次女が3カ月前から入院中という母(34)は「犬はみんなおとなしくていい子。『次はいつ来るの』と楽しみにしていて、最高の癒やしなのだと思います」。この日は事前に申し込んだ10人ほどが交代しながら2匹とふれあった。

「ワンちゃんが病院に来てくれたらいいな」。セラピードッグの定期訪問は、センターの医師の発案だった。セラピードッグを養成している同協会に依頼。獣医師に人畜共通感染症の予防策を学ぶなど準備を重ね、2016年に訪問が始まった。

 個室でふれあうだけではなく、入院中の子どもが病棟の廊下をリード片手に犬と歩くことも。担当看護師の川口めぐみさんは「犬たちは、かわいいのはもちろん、なにげない行動で笑いを誘ってもくれる。子どもは日常に近い瞬間を過ごすことができ、付き添う大人やセンターのスタッフも笑顔になる」と効果を実感する。

 同協会には、指示をきける、人を怖がらないといった適性を見極める独自のテストを通った8匹のセラピードッグがいる。センターにはこのうち2匹が毎週代わる代わる訪問している。

 協会の南園彩子さんは「セラピードッグの病院訪問はまだ全国的にも多くはないけれど、子どもたちから『もっと来てほしい』と言われるほど好評。平日は毎日『出勤』できることを目指して、資金を確保したい」と話している。問い合わせは同協会(072・770・4900)。
(松尾由紀)

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