捨て犬が野生化? 京都の桂川河川敷で増える野犬、殺処分も
観光名所の嵐山近くの桂川河川敷で野犬が増えている。西京署への通報は3月以降、20件。散歩中に群れを目撃した人もいる。京都市は、捨て犬が野生化して繁殖したとみている。府警や市は近づかないよう呼びかけている。今月1日にも草むらに置いたおりに雑種らしい子犬が入り、京都動物愛護センター(南区)が預かっている。
近所の男性は3月上旬、飼い犬の散歩中に何度か野犬を見かけた。「7匹くらいで群れていた。飼い犬じゃないとすぐわかった。あれだけいると怖かった」
西京署には3月以降、「野犬がうろついている」との通報が相次ぐ。市医務衛生課によると、目撃が集中しているのは、西京区の嵐山東公園や松尾橋近く。昼間は草むらに隠れ、夜になるとエサを求めて動き出すという。
センターが昨年度、桂川河川敷で保護した犬は42匹。17年度の2匹から急増した。昨年度の捕獲犬は多くが野犬とみられ、子犬が半数以上を占めた。16匹は新たな飼い主が見つかり、渡された。3匹は死んでしまい、人に慣れなかった15匹は殺処分された。8匹については飼い主探しを継続中。今年5、6月にも1匹ずつが捕獲された。
一般社団法人「アニマル・リテラシー総研」(東京都清瀬市)代表理事の山崎恵子さんによると、山で暮らす野犬はふつう人間を恐れ、近づいてこない。だが、エサをあげる人がいると、怖がらずに近づく習慣ができるという。
河川敷にいる野犬について、市担当者は「栄養状態も毛並みもよく丸々としている」。エサやりを続けている人がいるとみられる。
山崎さんは、エサやりは不幸な犬を増やすことにつながると指摘。「栄養状態がよくなれば繁殖力が高まる。しかし、野犬は人に慣れることが難しく、捕獲されても譲渡は困難。殺処分されるケースが多く、エサやりは『虐待』につながる行為」と話す。
すべての野犬の捕獲をめざし、市は2013年以降、桂川河川敷を中心におりを設置。今年3月から同河川敷のおりを増やした。
(大貫聡子)
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