犬猫の殺処分数、茨城は前年度より減少 ボランティアへ譲渡増で

 茨城県は、2018年度の犬猫の殺処分数が計446匹(前年度比37%減)だった、と発表した。犬猫ともに前年度より減少し、犬の殺処分数が全国ワーストだった08年度と比べると、犬は約96%、猫は約94%減った。県は引き続き、殺処分数「実質ゼロ」に向けた対策に取り組んでいる。

 捨てられた犬や猫を保護する笠間市の県動物指導センターの対応をまとめた。18年度に殺処分された犬は235匹(同30%減)。猫は211匹(同44%減)だった。新しい飼い主を探すボランティア団体などへの譲渡が増えたことが背景にあるとみる。

 収容された犬は1426匹(同8%増)で、収容の経緯は捕獲が1299匹、自治体や飼い主からの引き取りが127匹。一方、ボランティアなどへの収容犬の譲渡は985匹(同19%増)、飼い主への返還は128匹だった。猫の収容は1515匹(同14%減)で、経緯は保護が1486匹、飼い主からの引き取りが29匹。猫の譲渡は1284匹、飼い主への返還は2匹だけだった。

 犬の殺処分は05年度以降、茨城が8年連続で全国最多だった。県生活衛生課によると、茨城は持ち家率が高く、大型や中型犬を庭で放し飼いにして「そのまま野犬になって、捕獲されるケースが多かった」(担当者)という。

 県は16年12月、犬猫の殺処分ゼロを目指す条例を制定。16年度は犬猫合わせて2291匹だったが、17年度は713匹(前年度比69%減)と急減し、初めて1千匹を下回った。17年度からは、殺処分ゼロを目指すプロジェクト事業を始め、殺処分予定だった犬をセラピー犬として育成したり、野良猫を保護・管理する「地域猫活動」のセミナーを開いたりしており、18年度も減少が続いた形だ。

 今年4月には改正県動物愛護管理条例が施行され、犬を放し飼いにした場合の罰金の額を5万円以下から30万円以下に引き上げるなどし、今後も対策を続けていくという。

 県は21年に殺処分数を360匹以下にするという目標を総合計画に盛り込んでいる。360匹という数字は、収容中の病死や衰弱死など殺処分に反映される数や、気性が荒く譲渡が難しいなど理由があるケースを合わせた推計数という。同課の担当者は「譲渡可能な犬猫は全て譲渡し、実質的な殺処分ゼロを目指したい」としている。
(益田暢子)

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