これがじゃれ合い? むき出しの歯、野性味たっぷりな犬写真

なむとこてつ 
なむとこてつ 

   歯をむき出しにしてガブッ。カッと見開いた目。ものすごい形相の犬の写真ばかりを集めた写真集『がくこ』(辰巳出版)が発行された。「じゃれ合い」とは、とても思えぬ大迫力だが、これでも力を加減しつつ遊んでいるのだという。撮影者・著者でもある飼い主に事情を聞いた。

(末尾に写真特集があります)

ツイッターで人気に

 登場するのは岡山県に住む「こてつ」と「なむ」という2匹のメス犬。嚙んだり、舐めたり、激しく絡み合う。写真をツイッターで発信したところ、人気に火がついたのだという。写真集もタイトルは、「がくこ」と飼い主のツイッターのアカウント名にした。

   ともに野犬から生まれた子で、「こてつ」は5月で11歳、「なむ」は4歳になる。出会いについて著者に聞いてみた。

「『こてつ』が生まれたのは自宅側の山の中で、およそ生後2ヶ月のとき、母犬が他の子と一緒にうちの敷地に連れてきました。他の子犬たちは、他の家にもらわれたりしましたが、『こてつ』だけ敷地内の倉庫に隠れていたので、そのまま飼うことにしました。その頃、ゴローという先住犬がいましたが、高齢だったので、遊び相手にと思って、『なむ』を動物病院経由で引き取りました」

   家に迎えて3日目に2匹のじゃれ合いが始まった。「なむ」が成長した今では「こてつ」は歯茎が見えるほど口を大きく開けて応戦する。その様子を写真集では「歯茎」と名付けた。一方の「なむ」は、執拗にぺろぺろ舐めようとする。それで「ペロ」と表現したのだという。

「『こてつ』は小さい頃、近所の犬に会うと、楽しげにじゃれ合っていたので“犬同士はこうやって遊ぶものか”と思って、そこまで戸惑いませんでした。最初からガブッというのでなく、だんだんとハードになったので、麻痺したのかもしれないですが(笑)」

こてつ(左)にくっつく子犬時代のなむ (『がくこ』辰巳出版より)
こてつ(左)にくっつく子犬時代のなむ (『がくこ』辰巳出版より)

犬同士に任せていたら

   犬同士に任せておこうと思ったのですね?

「『こてつ』は野生に暮らす母犬と、うちに以前いた犬から教育を受けたおかげか、とても賢い子に育ったように思います。そのため犬同士の相性が良ければ、犬に任せても良いのかなと思って見守ってきました。写真に驚いて心配される方もいますが、よだれまみれになっても、ケガはおきていません。しかも『なむ』が一方的にやられているだけではなく、やり返していて、絶妙な力関係なんですよ」

   2匹の関係を通して、がくこさんがもっとも読者に伝えたいことは?

「犬はどんな姿をしていても、どんな行動をしていても愛おしいものです。『歯茎』と『ペロ』の関係も、犬の可愛さのうちの一つだと思います。年をとって関係が変わっても、もちろん可愛くて好きなことは変わりません。世の中で可愛がられる犬たちがより増えて、どの犬も幸せな暮らしができればと願っております」

どちらも、女子です (『がくこ』辰巳出版より)
どちらも、女子です (『がくこ』辰巳出版より)

   写真集の担当編集者はこう話す。

「ツイッターで初めて見た時、なんだこの犬たちは……と、若干不安を抱きましたが、何度か見るうちにじわじわとハマってしまい、むしろクセになってしまいました。一見凶暴そうに見えた犬たちの姿を笑いに昇華させる、がくこさんのウイットに富んだコメントにも何度も笑わせていただきました。2017年に猫写真家・沖昌之さんの『必死すぎるネコ』という写真集を手がけ、動物の一生懸命な姿からにじみ出る魅力を再確認し、多くの方も同じように感じられているということがわかりました。「こてつ」と「なむ」の魅力も、自分の気持ちに全力で正直な姿にあると感じています」

『がくこ』
著者:がくこ
発行:辰巳出版
体裁:ソフトカバー、80ページ
定価:1200円+税
藤村かおり
ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。
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