夜逃げのマンションに残されていた子猫 勇ましい名前をもらう

 住民が夜逃げしてしまった賃貸マンション。ペット不可のはずが、中には子猫たちが残されていた。うち1匹は、愛猫家に引き取られ、勇ましい名前をもらっていた。

(末尾に写真特集があります)

譲渡会の時も、はしゃいで明るい子猫だった
譲渡会の時も、はしゃいで明るい子猫だった

無人のマンションに猫の声

 2017年の夏のこと。大阪府内にある賃貸マンションで、家賃滞納を続けた住民と連絡が取れなくなったため、不動産業者が確認にいった。

 部屋に入ると、人が住んでいる気配はなく、ペット不可の物件にもかかわらず、糞尿にまみれていた。だが、動物の姿はない。とにかく部屋に残された物を廃品として処理しなければと、いったん部屋を出ようとすると、「ニャー」と猫の鳴き声がしたという。

「まさか」と思ったが、鳴き声は確かに聞こえた。もう一度部屋をくまなく探すと、4匹の子猫がいた。生後3カ月ほどだった。母猫の姿はなく、1匹はすでに息絶えていた。

 通常なら、猫であっても、他の残置物同様に「モノ」として扱われ、処分される運命だ。しかし、この不動産業者の担当者は、個人として「子猫を助けたい」と思い、保護団体「ワンハート大阪」に連絡したという。

カーテンレールにも上る
カーテンレールにも上る

仲間を得て2匹仲良く

 大阪府内に住む小田原さんは、前年に茶トラ白の子猫をワンハート大阪から迎えていた。その子猫「幸村(ゆきむら)」は日中1匹で留守番をしていることが多かった。運動不足も手伝って、だんだん太ってきた。「一緒に暮らす猫がいたらいいのかな」と小田原さんは考えた。

 そうしてワンハート大阪の譲渡会に行き、娘が気に入った生後6カ月の猫を家に迎えることになった。

 大河ドラマ好きな夫から、戦国時代の女城主の名をとって「直虎(なおとら)」と命名された。その名の通り、とにかくやんちゃだった。小田原さんがお弁当を冷ましていると、ご飯や卵を食べてしまい、ラップにくるんだ物まで破って食べた。卵を割る音がしようものなら、すぐに飛んできた。時には排水溝をあさることさえあったという。

「直虎はマイペースでひょうひょうとして、最初のうち「遊ぼう」としつこく絡んでくる先住猫の幸村のことを『うっとうしいなあ』と思っていたようです。でも、寒くなったら、並んで寝て互いに暖を取るようになり、幸村が直虎のグルーミングをして、世話を焼くようになりました。直虎のうんちが猫砂に隠れていないと隠してあげることもあります」

 先住猫「幸村」が教育係になって、先に遊んでいたおもちゃを横取りしてはいけないなど、「直虎」はルールを教えられた。今では2匹は仲良く遊ぶ関係。猫だけの留守番も安心だという。

ワンハート大阪
家族の一員として大切にされる存在な一方、営利目的で産み落とされ、身勝手な飼主の都合で捨てられる犬や猫。行政の処分所へ持ち込まれ、死を待つことしか与えられず、虐待されても物言えぬ彼ら。
この悪循環を作り出しているのも人間ですが、その悪循環にストップをかけられるのも人間です。ワンハート大阪は、一匹でも多くの命を守り、その命が尽きる最期に「ありがとう」を伝え、あの子達に「ありがとう」と言ってもらえる活動を目指しています。
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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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