災害時に猫を守る 大切なのは、モノより起きうるケースの想定

   地震、台風、土砂崩れ…。災害大国の日本で、まさかの時、愛猫をどう守るか。本当に備えるべきもの、状況別の対処法などをまとめた『決定版 猫と一緒に生き残る 防災BOOK』(日東書院本社)が発売された。まもなく東日本大震災から8年、3月11日を迎える。

『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』より
『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』より

   本書の冒頭には、災害時に起こりうる状況を網羅したシミュレーションのチャートが載っている。災害時にどこにいるか、家族はどこにいるか、猫は何匹いるか、避難所に入れるか、自宅にとどまれるか、などによって、状況は大きく変わってくるからだ。

   最も強調されている災害時の心得は三つ。「人命最優先」「ペットや飼い主は災害弱者」「必要な備えは家に寄って異なる」。まず飼い主が助からなければ猫を助けられないし、人の避難が優先されるため、ペット連れは、高齢者や乳幼児連れなど特に支援を必要とする人より避難生活に困難が多い。家族構成や住宅の構造もそれぞれ違う。自分の生活をまず見つめ直すことから、防災はスタートする。

「備え」は基本のき。猫と生き延びるため、緊急時の持ち出し品などソフト面の備えと、住宅の耐震性、耐火性などハード面の備えの両面を見直すことを提唱する。

   必需品は頭数分のキャリーバッグ、フードやおやつ、持病の薬。人と共用できる飲料水やタオル、新聞紙などもあると便利だ。猫を抱えて避難する場合、持ち出せる物の量は限られる。トイレやフード皿は段ボールや新聞紙など身近な物で代用できるため、優先的に持ち出す必要はないという。

『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』より
『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』より

「避難」については、複数の選択肢についてアドバイスする。

   ペット被災についての国の基本方針は「同行避難」だ。防災用品を準備しておくのはもちろんのこと、日頃から健康管理を行っておくほか、キャリーやケージに慣れさせる、避難所や避難経路を把握しておくなど、同行避難を想定して日頃からの備えが大切だという。

   被災状況によっては、ペットと人は避難所で別々になる場合や、やむを得ず飼い主だけが避難しなければならないケースがあることも想定しておかなくてはならない。ほかにも、自宅や、自家用車、テントなどで避難生活を送る際の注意も書かれている。

   巻末には非常用グッズのチェックリストや、愛猫健康手帳が付いている。

   本書を企画したのは、猫雑誌『猫びより』(辰巳出版)編集部の本田真穂さん。企画の経緯についてこう話す。

「『猫びより』では東日本大震災、熊本地震直後に被災地を訪れ、その後も取材を続けてきました。取材を続ける中で政府が発表した『ペットとの同行避難の推奨』や、同行避難に伴う避難所のトラブルなど、ペット防災への意識の変化を感じたのがきっかけです。大切なのは、“被災した時どうするか”を日頃からシミュレーションしておくこと、自分に合った備えをしておくこと、災害時に役立つサバイバル術を知っておくことです」

『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』
発行:日東書院本社
編集:猫びより編集部
体裁:A5判・112頁、本文オール2C
定価:1300円+税
藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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