「猫駅長りょうま」ありがとう、頑張ったね 100人がお別れ
「ありがとう。お疲れさま」――。JR芸備線の志和口駅(広島市安佐北区)の「ネコ駅長」として親しまれてきた雄のりょうまが12日、息を引き取った。推定14歳。14日、りょうまを世話してきた「見守る会」のメンバーらが駅でお別れの会を開き、ファンら約100人が詰めかけた。
「りょうまは町に明るい話題を提供してくれた。一緒に過ごした時間は本当に楽しかったし、思い出は尽きない。二度とこんなネコは出てこない」。この駅で駅長も務め、退職後は毎日世話をしてきた見守る会事務局長の中原英起さん(73)は、お別れの会のあいさつで涙を流し、言った。
待合室の外にあふれるほどの人が集まり、別れを惜しんだ。世羅町の会社員浅藤正幸さん(53)は「芸備線に乗る時は、いつも志和口駅で途中下車して会っていた。りょうまのおかげで笑顔になれた」。
りょうまが駅に姿を現したのは2010年ごろ。人なつっこい性格で地元の人々にかわいがられ、12年にネコ駅長に。これまでにりょうまに会いに訪れた人は約1万9千人にのぼる。
「今年は2万人達成のお祝いをしたい」と地元の人たちが意気込んでいた矢先だった。1月末、りょうまは食べた物を嘔吐(おうと)するようになり、動物病院に入院。腎臓を悪くしていた。今月10日に一度退院し、駅の周辺を歩き回るなど元気な様子も見せたが、12日夕に旅立った。「退院の日は車の中でも駅でもよう動いて……最後の力を振り絞って、帰れたことを喜んでいたんだと思う」と中原さんは言う。
お別れの会の最後に、中原さんはりょうまを抱いて、ホームや駅舎の周りをゆっくりと歩いた。昨年の西日本豪雨で志和口駅を含む区間は不通が続いており、ホームには車両が止まったままだ。今年秋の全線運転再開を、りょうまも待ち続けていた。「再開を一緒に見届けたかった。でも、本当によく頑張ったね。ありがとう」
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