どのシーンにも猫がいる!映画「ねことじいちゃん」いよいよ公開
穏やかにきらめく海。四季折々の花が咲き、人々はのどかに暮らす。そして、どの風景にも猫! 世界的に活躍する動物写真家、岩合光昭さんが映画監督に初挑戦した「ねことじいちゃん」が、いよいよ2月22日(金)猫の日に公開される。
人と猫と…命の物語
原作は累計発行部数が40万部を超える人気コミック。舞台となるのは、コンビニすらない、漁業と農業の小さな島だ。
2年前に妻に先立たれた大吉は、島の小学校の元校長先生。息子も独立して島を出て行き、今は愛猫のタマとのんびり暮らしている。周辺には気心の知れた友人ばかり。人望もあり教養もある大吉は島の人々から頼られる存在だが、家の中では、すっかり愛猫タマのしもべだ。そんなのどかな島に、ある日都会から美しい女性が移り住んできて…。
現代の日本にまだこんな場所があるのかと思うほど、四季のうつろいが美しい島を舞台に、人と人、人と猫の日々が描かれる。
主役・大吉を演じるのは映画初主演となる立川志の輔さん。そして、島にやってきた猫好きの美女・美智子は、自身も大の猫好きで知られる柴咲コウさんが演じる。
生きている姿をそのままに
キャストに「自然体でお願いします」と伝えたという岩合監督。長年にわたり、野生動物はもちろん、世界各地で暮らす猫たちをカメラに収めてきた動物写真家らしいオーダーだ。
「この映画には35匹ものプロの役者猫たちに登場してもらっているんですが、僕はついつい、猫のことばかり追いかけてしまって…。ヒロイン役の柴咲コウさんから『監督、たまには人間の役者のお芝居も見てくださいね』って、クギを刺されちゃいました」と、岩合さんは苦笑い。
これまで岩合さんが追いかけてきた、自然に暮らす猫たちのノンフィクションと違い、映画にはストーリーがあり、演技がある。トレーナーの指示で動き、演技をするプロの猫とはいえ、猫は猫。時には思いもかけない動きをすることも。
「例えば、水を飲もうとした子猫が足を滑らせて水にはまりそうになる。するととっさに、柴咲さんが手を差し伸べて助けるんです。芝居ではなくて、ごく自然な動きでね。猫たちの動きに、どの俳優さんも合わせて動いてくださった。おかげで、ドラマでありながらも、そこで生きているそのままの姿をとらえることができました」
フィクションではあっても、今、この島に生きている、そのままの姿をとらえたかったという岩合さん。その狙いは見事、美しい映像として実を結んでいる。
全編すべてのシーンに猫が?
さりげない漁港のシーンはもちろん、海に沈む夕日の場面も、バス停でバスを待つ人の足元にも…どんな遠景にもどこかに猫が映り込んでいるという本作。
猫の主役・タマを演じたベーコンはキジトラの毛並みが美しい、3歳の男の子だ。
「6歳のタマを演じたベーコンはスーパーキャット。3歳とは思えないどっしりとした存在感と絶妙な演技力でした。大吉役の立川志の輔師匠も、待ち時間の間さえタマ(ベーコン)を抱いて可愛がって、大吉になり切ってくださった。すべてのキャストとスタッフが、猫たちを大切に思い、猫と取り組んでくれたおかげで、この映画は出来上がったんですよ」
その一方、志の輔師匠からは落語家らしい皮肉も飛び出したようで、
「大吉さんとタマのシーンを撮っていたときのこと。カット!でカメラを止めて、思わずベーコンを抱き上げて『えらかったね、よかったよ』ってほめたんです。そしたら後日、志の輔師匠が高座で『監督は猫しかほめないんだから』って…。あの時、志の輔師匠も抱き上げといたらよかった(笑)」
人と猫と島と。命への愛情あふれる視線がそのまま作品に投影された「ねことじいちゃん」は、まるで猫セラピーを受けているかのような優しい映画だ。
- 『ねことじいちゃん』
- 公開日: 2019年2月22日(金)
原作:ねこまき(ミューズワーク)「ねことじいちゃん」(KADOKAWA刊)
出演:立川志の輔、柴咲コウ、小林薫、田中裕子 ほか
監督:岩合光昭 脚本:坪田文
配給:クロックワークス
©2018「ねことじいちゃん」製作委員会
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