保護した猫など6匹と暮らす愛猫家 多頭飼いのコツとは
動物の専門学校で講師をしながら、京都府内で猫の保護活動を続けている女性がいる。もともと動物看護師として動物病院で働いていた。動物病院を退職後は、飼い猫と保護猫あわせて最大で6匹と定員を決めて、自宅で一緒に暮らしている。多頭飼いのコツを聞いてみた。
(末尾に写真特集があります)
京都府に住む元動物看護師の安藤さんは今までに200匹以上の猫を譲渡してきた。猫を多頭飼いしたい人にいくつかアドバイスがあるという。
「猫は多頭飼いすると、一緒に遊んで成長し、どれくらいの強さなら噛んでいいのか、猫や人にどんなふうに接したらいいのかなど、さまざまなことを学びます。運動不足解消のためにも、同じ年くらいの猫を多頭飼いすると、一緒に遊ぶことができるのでいいですよ。思いっきり体を動かすと、ストレス解消にもなるんです」
上限を決めて飼う
安藤さんは一緒に暮らす猫は、飼い猫と保護猫を合わせて最大6匹を定員と決めている。6匹の猫たちは、みんなワケありの猫だ。捨てられて警察に保護された猫、交通事故にあって大怪我をした猫、動物病院に捨てられていた猫……。それぞれ出自は違うが、悲しい過去を持っている。
譲渡できる猫は譲渡するが、なかには病気を持っていたり、譲渡しにくい性格だったりして、自分で引き取った猫もいる。
取材時の構成は、老猫2匹、成猫が3匹、子猫が1匹。いつも、上の世代の猫が下の世代の猫の面倒を見て、育ててきたという。
年長の猫が年少の猫の教育係に
現在、猫の教育係として活躍しているのが、「あもれる」と「おったー」。彼らも老猫組の教育を受けて育ってきたそうだ。
2匹はかつて安藤さんが勤めていた動物病院の植え込みに捨てられていた子猫だった。安藤さんは、院長から連絡を受けて、2匹を引き取ることにした。
「あもれるは、虚弱体質で、小さかった。腎臓の位置がおかしいため、オシッコが漏れて、漏れて、どうしようもない状態でした。ミルクを飲まず、キャットフードも食べず、膀胱炎になってしまいました。通常、子猫は生後2カ月で譲渡しているのですが、譲渡できる状態ではなかったので、うちの猫にすることにしました。男の子のおったーは、あもれるの相棒として、手元に残すことにしたんです」
「6匹の猫の世話をするなんて大変!と思われるかもしれませんが、あもれるとおったーが来た時、うちには、『ふく』と『ぱぴこ』という2匹の老猫がいました。その老猫たちが、2匹にトイレの場所やご飯の食べ方、セルフグルーミングの仕方など、生きるために必要なことを教えてくれました。また、あもれるとおったーも互いにじゃれ合いながら、仲良く暮らす術を自然に学んでいったのです」
いまでは子猫が入ってくると、あもれるやおったーがグルーミングをして、かいがいしく世話を焼く。多頭飼いすると、年長の猫が年下の面倒をみて、教育するという体制が自然に出来上がっているのだ。
老猫になった時の心構えも
「ただし、猫は高齢になると必ずと言っていいほど、腎不全になります。療法食を購入しなければなりませんし、介護にも何かとお金がかかります。2匹一緒に動物病院に連れて行くのも大変です。片方だけ病院に連れて行くと、いつもと違う臭いをつけて帰るので、留守番していた猫が怒ります。猫は、変化のない日常を愛するので、そうした些細なことがストレスになりますね」
猫同士の相性さえ合えば、多頭飼いもできないことはないが、高齢猫になった時の覚悟と備えが必要だ。飼い主の経済力、時間、体力について、よく考えておくべきだろう。
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