玄関チャイムに過剰に吠える犬 クレート使って訓練
犬が吠えるのは人が話をするのと同じくコミュニケーションのひとつであり、それなりの意味があります。ただやみくもにやめさせようとしてもうまくいかないので、犬の心理を考えて対処することが大切です。犬の心理を理解するには、吠え声のトーンや犬のボディランゲージ、吠えている状況などを考慮する必要があります。また同じような状況でも、必ずしも同じ動機で吠えているとは限らず、犬の気質や飼い主の対応などを考慮して判断する必要があります。ここでは最も可能性の高いものについて解説します。
犬の吠えに関して私が日頃よく相談を受けるのは以下のような状況です。
●室内で
・玄関チャイム、宅配便配達人、来客に吠える
・飼い主が別の部屋に行く、外出するなど犬と離れると吠える
・飼い主が電話や来客と話をしている時などに吠える
・サークルに入れられた時や早朝に起きてサークルの中で吠える
・犬用の食事の準備中や飼い主の食事中に吠える
●庭で
・郵便配達人、新聞配達人、来客に吠える
・庭先の道路を歩く通行人や犬に吠える
●散歩中
・散歩中に出会った人や犬に吠える
(1)玄関チャイム、宅配便配達人、来客に吠える場合
1.玄関チャイムに吠える
「玄関チャイムに吠える」は相談がとても多い問題です。そもそも玄関チャイムは家に誰かが入って来る(=侵入する)合図ですから、もともと番犬や猟犬として人に飼いならされた犬は、チャイムの音を聞くと本能的に「誰か来たよ!」と飼い主に知らせようとします。
ごく正常な行動であり、短時間で吠えやんでくれれば問題はありません。しかし中には過剰に吠え続けることもあり、吠え声が大きいとインターホンの相手の声が聞き取れないこともありますし、度を超すと近隣からの苦情につながる可能性もあります。
予防のためには「吠える」という行動をしはじめる前の子犬の時期に、チャイムの音が鳴ったら名前を呼んで呼び寄せ、「おりこう」と言ってご褒美を与える習慣をつけておくことをお勧めします。チャイムの音が鳴った時、飼い主のそばに行くと良いことがあると教えておくのです。
すでにチャイムの音で吠える犬の場合、吠える理由や犬の気質などを考慮して対策を考える必要があります。ここでは比較的実施しやすい「代替行動分化強化」という方法を使ってみましょう。チャイムが鳴った時に「吠える」という行動に替わる特定の行動を決めて、それを強化する方法です。
① クレート(犬が入って方向転換して入り口を向いて横になれるぐらいのケージ(写真:リアムくん))の入り口付近におやつを入れてドアを閉めて犬に見せます。犬がおやつを欲しがったら、クレートのドアを開けて食べさせます。おやつを置く場所を少しずつ奥にして、犬がクレートの中に完全に入っておやつを食べるように練習します。さらに犬がクレートに入っているうちにおやつを追加で入れ、クレートに入るといいことがあると教えます。
② 家族や友人に手伝ってもらって玄関チャイムを5~10分程度の間、30秒~1分置きに鳴らしてもらいます。クレートのドアを閉め、チャイムが鳴るたびに犬に「ハウス」と言い、クレートのドアを開けて中にあるおやつを食べさせます。
③ 「ハウス」の合図だけで犬が喜んでクレートに入るようになったら、クレートの中におやつは入れておかずに、「ハウス」の合図で犬がクレートに入ってから「おりこう」と褒めておやつを入れるようにします。
④ ②の練習で実際にチャイムが鳴った時に、犬を最も誘導しやすい場所を選んでクレートを置き、その近くの犬が届かない場所におやつを常備します。インターホンのすぐそばであればクレートに誘導すると同時に応対できます。実際にチャイムが鳴った時にも「ハウス」と言ってクレートの近くに常備してあるおやつを取り、犬がクレートに入ったら「おりこう」と褒めておやつをクレートの中に入れます。おやつを食べ終わったらすぐに吠え始める場合には、時間の持つおやつ(ガムやおやつの入った知育玩具など)に変えましょう。
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