災害時、ペット守る連携 東海の獣医師会、相互協定

岐阜市で開かれたVMAT講習会で、シェルター設置の机上訓練をする参加者ら
岐阜市で開かれたVMAT講習会で、シェルター設置の机上訓練をする参加者ら

 災害が起きたときに飼い主とはぐれたり、避難所への同行を断られたり、災害時のペットの扱いが近年、課題として浮上している。東海地方の獣医師会はこの秋、被災した場合に互いに獣医師を派遣するなど被災ペットを守る連携を始めた。飼い主ら「人」の安全にもつなげたいという。

 愛知、三重、岐阜、静岡の各県獣医師会と名古屋市獣医師会は9月、相互協定を結んだ。東海地方で災害があった場合、被災した地域の獣医師会から直接要請を受け、他の獣医師会が被災地に獣医師を派遣。被災ペットを預かるシェルターが現地で足りない場合、保護や受け入れもするという。

 これまでは、日本獣医師会から要請を受け、各獣医師会がそれぞれ被災地を支援していた。愛知県獣医師会の清水敏光会長は「距離も近い隣県同士なので連携しやすい。効果的な活動につなげたい」と話す。

 被災した動物に緊急対応する「動物医療支援チーム」(VMAT)の育成も東海地方で始まっている。

 10月下旬、岐阜市内で開かれたVMATの講習会。岐阜県獣医師会などが企画し、県内だけでなく三重県や静岡県の獣医師ら約60人が参加した。

 参加者は2日間の講習会で、被災地での動物救護活動のノウハウを学んだ。被災ペットを預かるシェルターを公園や学校の校庭に設ける机上訓練では、資材確保や疫病対策といった実際に直面するかもしれないハードルも体験した。東海地方では、愛知県でも昨年7月にVMAT講習会が開かれた。三重と静岡の県獣医師会でもVMATの導入を現在検討している。

「飼い主の支えに」

 相互連携やVMATが広がるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災や16年の熊本地震だ。

 東日本大震災では、津波や東京電力福島第一原発事故で、飼い主とはぐれた被災ペットの保護やシェルターの確保が問題になった。

 岐阜県獣医師会の柴田真治理事は「現地でシェルターが足りず、福島県から保護したペットを岐阜で預かったが、飼い主と離ればなれになってしまった」と振り返る。熊本地震では、ペットと同行避難したいために車中泊する飼い主がエコノミー症候群になった事例もあったという。

 国内でVMATの普及活動をしている日本獣医生命科学大(東京)の羽山伸一教授は「被災地で獣医師や動物看護師が組織的に活動することで、被災動物の助けになるだけでなく、生活再建など様々な問題を抱える飼い主の支えや自治体の防疫対策にも役立つ」と話している。
(古庄暢)

避難所へ同行避難「平時からしつけを」

 災害時、自宅が被災してペットの飼育が難しかったり、避難所への同行が難しかったりした場合に飼い主自身はどう行動すべきか。愛知県獣医師会の清水会長は「まずは普段行きつけの動物病院や都道府県の動物保護管理センター、愛護センターに相談してほしい」と話す。自治体と獣医師会が連携し、被災ペットの一時預かりや保護をしているためだ。

 一方、被災ペットの保護施設は受け入れ数に限りがある。避難所への同行避難を周囲の人から受け入れてもらいやすいように「平時からの飼い主のしつけも大事だ」と清水会長は指摘する。避難所では見知らぬ人たちと生活するため、「ペットが他の避難者にほえたり、怖がったりしないようにすることが欠かせない」という。

◆キーワード
<動物医療支援チーム(VMAT)> 獣医師や動物看護師らでつくる災害時の専門家チーム。災害直後に被災地に入り、医療環境や必要な支援物資の状況を調べたり、地元自治体や飼い主からの相談に応じたりする。2013年に福岡県獣医師会が全国で初めて発足させ、16年の熊本地震でも活動した。今年10月末現在、大阪、群馬、東京など11都道府県の獣医師会で講習会が開かれた。

朝日新聞
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