補助犬って知ってる? 聴覚障害の母思い、息子が作詞・作曲
目の見えない人を助ける盲導犬、手足に障害のある人を助ける介助犬、耳の聞こえない人を助ける聴導犬。これらは補助犬と呼ばれるが、全国に1千頭余りしかいない。もっと知ってもらおうと、耳の聞こえない母と、手話を交えて歌う息子が全国を回っている。
厚生労働省によると、補助犬は厚労相が指定する法人などが認定する。10月1日時点で、盲導犬は全国に941頭、介助犬は66頭、聴導犬は67頭いる。
大阪府東大阪市の安藤美紀さん(49)は生まれつき耳が聞こえない。電話やインターホン、車のクラクションなどは、一人息子の一成さん(23)が幼いころから「耳」の代わりを務め、美紀さんに伝えてきた。
ところが、中学2年のときに反抗期になり、学校から帰ると部屋に閉じこもった。美紀さんは「息子に迷惑をかけたくないから自立しよう」と、日本聴導犬推進協会(埼玉県)から聴導犬レオンの貸与を受けた。9年前からは自分の経験をもとに補助犬の役割を広める活動を始め、NPO法人「MAMIE(マミー)」代表として、これまでに全国で100回以上講演してきた。
2002年施行の身体障害者補助犬法では、盲導犬、介助犬、聴導犬の3種を補助犬と定める。レストランやデパート、公共交通機関などは原則同伴を拒んではならない。
盲導犬を育成する東京都の団体は今年3月、盲導犬の利用者(回答者119人)のうち6割以上が飲食店などの入店拒否を経験したとする調査結果を公表した。
美紀さんも、飲食店に聴導犬を連れていくと、今でも3軒に2軒は入店を断られる。「補助犬はペットではありません」などと伝えて初めて同伴できることもある。そんな姿を見てきた一成さんは昨年春、大阪芸術大学の演奏学科を卒業後、「歌なら子どもから大人まで補助犬のことを覚えてもらえる」と考え、「ほじょ犬(けん)って知ってる?」を作詞・作曲した。
♪ちょうどうけんは 耳の聞こえない人をサポートするんだ/ちょうどうけんのおしごとは めざましとけい・チャイム・自転車の音をおしえてくれる
手話を交えた歌手の活動をしながら、昨年5月からは美紀さんと共に学校や企業、手話サークルなど全国50カ所以上を巡っている。
一成さんは「聴導犬が家に来てから、母は明るくなった。聞こえる人と聞こえない人の間に壁がない世界をつくりたい」という。
10月末まで、CDとDVD各300枚を作成して寄付者に贈る費用などをクラウドファンディングで集めている。(島脇健史)
【朝日新聞デジタルに動画】
https://www.asahi.com/video/articles/ASLBQ544LLBQPTIL00R.html
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