先住犬に似た犬を引き取る それでもなじむには時間が必要だった
譲渡会で紹介される保護犬の中には、人気の犬種もいる。モジョちゃんはチワワのミックス犬で、チワワの先住犬をなくした家にもらわれた。だが、似通った犬種でも性格は、犬によって違う。新しい家になじむには、時間が必要だった。
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同じチワワを探して
神谷さんは、昔飼っていたロビンくんというチワワを15歳でなくした。いざいなくなってみると、その存在の大きさが胸に迫ってきた。ありがたみをひしひしと感じる日々。
「やっぱり、犬と暮らしたい」
そう思って、犬を探し始めたのだが、ペットショップで買うのではなく、保護犬を引き取ると決めていたそうだ。ロビンくんが通っていた動物病院には、保護団体ARKの冊子が置いてあったし、テレビ番組などで保護犬が取り上げられていたので、保護犬の存在を知ることになったのだという。
「新しい犬を迎えるのなら、保護犬にしようと思いました。先代犬がチワワだったので、性格も分かっているし、チワワにすると決めていました」
まずはWebでいろいろ探してみたが、ARKはしっかりした印象があり、ここならと思ったという。そこで見つけたチワワのミックス犬がモジョちゃんだった。少し舌が出るところがロビンくんとそっくりで、心惹かれたそうだ。ARKのサイトには、里親募集中の犬の性格や年齢、保護の理由も掲載されていて、どの子がどんな子なのかよく分かった
その後、ARKが大阪市内で開いた譲渡会で、神谷さんはモジョちゃんと初めて対面した。譲渡会には、他の犬も来ていたが、同じチワワでも、おとなしい子もいれば、気の強い子もいる。犬種はともかく、家の間取りから考えても、小型犬がいいと思ったそうだ。みんな可愛かったので迷ったが、5匹ほどいた候補の中から、人懐っこくて、かわいいモジョちゃんを選んだという。
「ここは私のお家じゃない」
実際に譲渡されるまでの間、神谷さんは、早くモジョちゃんと暮らしたいという気持ちがどんどん募っていった。先代犬ロビンくんが使っていたフードボウルやおもちゃなどがあったので、迎え入れる準備も万端だった。
ところが、神谷家に来たモジョちゃんが、残念ながらすぐに家になじむことはなかった。2階で飼うため、階段の前に落下防止用の柵を設置しているのだが、その柵の前でずっと帰りたそうに待っていたという。まるで「ここは私のお家じゃない」とでも言っているかのように。
モジョちゃんの態度は、神谷さんにはちょっとショックだった。しかし、ご飯はすぐに食べるようになり、散歩も大好きで、1日2回は出かけたという。犬との交流もできるので、すぐにお友達もできた。
神谷家に来てから3週間後、やっとモジョちゃんが、「ここは私のお家」と思っているのが感じられたという。
「慣れてくれるかどうか不安だったのですが、慌てず、ゆっくり、モジョの性格を考えて接していたら、だんだん信頼関係を築くことができました」
近所に保護犬について説明
神谷さんは保護犬について語る。
「保護犬は多かれ少なかれ、つらい思いをしている犬たち。犬は賢いけど、人のようにつらい気持ちを誰かに打ち明けられません。淋しいとか悲しいとか、痛かったとか言えない。だからこそ大事にしてあげてほしいのです」
神谷さんは、モジョちゃんと出会ってから、保護犬を取り巻く問題に敏感になったという。ARKの仲間の輪に入った気がして、近所の人にも保護犬のことを知ってもらうために說明したという。いまでもARKに物資を送って、支援を続けているそうだ。
アニマル・レフュージ関西(ARK)
さまざまな理由で保護した犬や猫の心身のケア、社会化トレーニング、里親探しなどを行っています。
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