放棄されたシェパード 放浪中に保護、愛犬家のもとへ
犬が捨てられる理由はさまざまだが、血統書付きの犬が何らかの理由で捨てられることもある。放浪していた大型犬のシェパードが保護された。おそらくブリーダーが捨てたと考えられる。
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小型犬ならいざしらず、なんとシェパードのハインくんは町を放浪していたところ、ある動物愛護センターが捕獲し保護した。当時、ハインくんは、皮の首輪をつけ、頑丈な鎖を引きずっていたという。
おそらく、屋外でつないで飼っていたと思われ、被毛などの手入れはされていなかった。収容犬の告知期限が過ぎたため、愛知県で活動していた「ジャーマンシェパードレスキュー」が引き取ったという。ジャーマンシェパードレスキューは、シェパード愛好家の有志が、行き場のないシェパードだけを保護して譲渡している団体だ。
放棄した人間は分かっても…
ジャーマンシェパードレスキューから依頼を受けたボランティアがハインくんを引き取りに行くと、汚れて、被毛は絡まり、悪臭が漂っていた。そのままでは移送できる状態でなかったため、地元のトリマーに協力を依頼したという。
シェパードの場合、生まれた時に耳に番号を振るので、ブリーダーの目星はつく。当時8歳だったということも分かった。おそらくハインくんは、自ら脱走し、その後捜索されなかったのではないかと考えられている。しかし、元飼い主が分かったところで、そこに戻しても不幸なるだけだ。ジャーマンシェパードレスキューは、そのままハインくんを引き取り、譲渡先を探すことにしたという。ハインくんはおっとりしていて比較的飼いやすい性格ではあったが、シェパードは、いわゆる愛玩犬として簡単に飼える犬ではないため、譲渡先も慎重に選んだそうだ。
かつての飼い犬にそっくり
大阪府に住む上野愛美さんはシェパード愛好家だ。犬そのものが好きだが、中学生の時にシェパードを飼っていたことや、子どもの頃「名犬リンチンチン」というシェパードが主役の映画を見たこともあり、思い入れが強くなったという。
そんな上野さん、Facebookでジャーマンシェパードレスキューのページを見るのが日課になっていた。ある日、いつもと同じようにパソコンを眺めていると、以前飼っていたシェパードのアルノくんにそっくりの犬が出ていた。
「この子、アルノにそっくり。鼻の周りの毛が黒いところとか、ほわんとした雰囲気とか」
上野さん夫妻は、引き取りたいとジャーマンシェパードレスキューに連絡したが、すでによその家にトライアルに出ていた。
ところが、そのトライアル先には正式譲渡されなかった。
「一度トライアルに出ていたのですが、譲渡にいたらなかったそうです。そうしてうちにトライアルにやってくることになりました。私たちはハインがやってきたその晩に、ジャーマンシェパードレスキューに電話して、この子に決めました!と言ったのです。ハインを一度預かったら、返そうなんていう気にはなりませんでした」
上野さん宅には、レナちゃんという1歳の別のシェパードがいたが、ハインくんはおびえることもなく、最初から2匹一緒に遊び、新しい環境にも自然に馴染んだという。
ハインくんは、体は大きいがとても甘えん坊。人懐っこく、犬にも猫にもフレンドリーで、とても飼いやすいという。余生は、のんびり暮らしてほしいと上野さんご夫妻は願っている。

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