猫を迎えたら、子どもがやさしく お父さんにもやる気?

「いつか猫が飼いたいね」と話していた家族のもとに、昨年7月、念願の子猫2匹がやって来た。2匹は広い家でのびのびと育った。姉妹だが、大きさも性格も違う。そんな2匹との生活が家族をやさしく変えたという。

(末尾に写真特集があります)

 東京都西部の静かな住宅地に、3階建ての坂本さんのお宅がある。40代の両親のもとに小学6年の長女と小学3年の長男の4人暮らし。そこに昨年、2匹の子猫が加わった。グレーと茶のサビ柄のソフィと、三毛のエレナだ。坂本家がペットを飼うのは、初めてのことだ。

家族に愛されているソフィ(左)とエレナ
家族に愛されているソフィ(左)とエレナ

 お母さんが説明する。

「私も主人も実家に猫がいたので、下の子が小学校にあがったら、猫を飼いたいなと思っていました」

 家族が猫たちに出会ったのは昨年6月、渋谷区内で開かれた譲渡会だった。一家総出で、ワクワクしながら見に行ったという。

 譲渡会で紹介されたのは、4匹きょうだいの子猫。古い商店の屋根が崩落して救出された野良猫の子だった。ケージの中では、メスがオスより積極的で、“わたしたちを見て~”というようにアピールしていた。

1匹に決めきれず

「みんな違う柄で可愛かった。その中で、私とまっさきに目が合ったのが、ソフィでした。普通のサビより薄い変わった色が魅力的で。ところが、子どもたちはエレナが気にいって。子どもの意見も尊重したいし、迷いました」とお母さん。

 家族で相談したが、答えは出なかった。結局、2匹とも譲り受けることにした。「初めて飼うのに2匹は大変かなと思いましたが……」

 猫同士で遊ぶだろうし、「2匹でも問題はない」とボランティアの言葉に後押しされたという。実際、正式譲渡前のトライアルのときから、2匹は何をするのも一緒で、段ボールを二つ置いても一つの箱で重なって寝るほど仲良しだった。2匹ともえさをよく食べ、トイレもすぐに覚えた。

 2匹一緒にもらって「大正解」と家族はいう。

「だって2匹いると、楽しいもーん」と、3年生のいっくん。

 特にいっくんは、自分より小さな“家族”ができたことが嬉しかったようだ。抱っこしたり、オモチャで遊んだり、猫が来てから、ずっと楽しそうにしているという。

エレナを抱く長男のいっくん
エレナを抱く長男のいっくん

個性豊かな2匹

 家に迎えた当初、2匹はほぼ同じ大きさだった。今ではソフィが4.1キロなのに、エレナは5.8キロもある。「エレナが食いしん坊だから」「ソフィの残りを食べちゃうの」と子どもたちが笑う。

 おねえちゃんによれば、ソフィは皆といるのが好きで、エレナは離れているのが好き。でもエレナは、妬くようにソフィのことを時々、物陰からジーッと見ているのだとか。

「声はエレナが高くて、ソフィは低い。だけど、ごはんをねだる時はソフィもニャ~と妙に高くなる(笑い)。結局どっちも女子」

 去年の秋頃から、夜、2匹は2階の子ども部屋の2段ベッドで眠っている。しばらく1段目のいっくんと遊ぶが、その後、2匹ともはしごで上段にあがるという。

「エレナは私の体をよけて隅に寝るけど、ソフィは私を踏みつけて寝床に入るのよ」

 朝は4時半に、1階に置いた自動給餌器からフードが出るようにセットしてある。2匹はその頃になると、もぞもぞ起き出す。エレナはおねちゃんの顔に鼻をつんつん付けて、ソフィはお腹にドンッ。起きるまで耳元でずっと「ぐるぐる」と喉を鳴らし続けるのだという。

「もともとおねちゃんは早起きしていたけど、少し早まったわね」とお母さん。

ソフィの得意ポーズ。スフィンクスをもじって「ソフィンクス」
ソフィの得意ポーズ。スフィンクスをもじって「ソフィンクス」

猫がけんかを仲裁

 猫が来てから、家族に変化があった、とお母さんはいう。

「みんなが少しづつ優しくなった気がします。たとえば、子どものけんかの時間が短くなったんですよ」

 姉と弟は3歳違い。2人がけんかしていると、“何々?”と猫が間に入っていくという。

「特にソフィは必ず、ひょこーっと戦いの中にはいっていくんですよね。おねえちゃんが『ソフィがどうなってもいいのか』というと、ピタッと納まるんです」

 一方、弟のいっくんは、だれも見てないところで、「おにいちゃんがやってあげるよ」と猫たちにそっと声をかけていることがあるそうだ。

2段ベッドのはしごを上るエレナ
2段ベッドのはしごを上るエレナ

 お父さんも「猫との暮らしは想像以上に賑やかで大変なこともあるけど、仕事が終わって家に帰ると楽しくて。僕ももっと仕事をがんばらなきゃな、と思うようになりました」。

 猫を迎えて、居間にウエブカメラを設置。居間とキッチンにはDIYで仕切りを付けた。

 お母さんは「私も仕事をしているので、毎日6時間ほど猫だけになる時間があるんです。最初はケージに入れていましたが、冬の間は居間のこたつで過ごさせたかったので。危険なキッチンに入れないようにしてからは、3階までフリーにしました」と説明する。家は広く、猫たちは十分に運動している。

 話を聞いている間、いっくんは、寝そべってソフィとエレナと遊んでいた。

「いっくん。猫が来てよかったね」

 そう話しかけると、いっくんはハッキリと答えた。

「ニャーン!」

 あれっ、猫になっちゃった?

藤村かおり
ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。

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