介助犬が「犬のお巡りさん」 交通安全教室で子どもに大人気

交通安全教室に参加する子どもと「ベッキー号」=昨年7月、奈良県警提供
交通安全教室に参加する子どもと「ベッキー号」=昨年7月、奈良県警提供
 

 犬が子どもたちにお手本を見せる、ちょっと変わった交通安全教室が奈良県警桜井署管轄の山間部で開かれている。署員の思いつきで誕生した「犬のお巡りさん」が小学校や幼稚園で人気者なのだ。

 昨年7月、宇陀市立榛原北保育園で開かれた交通安全教室。訓練士に連れられた2頭の犬が、園庭に用意された模擬道路を歩く。横断歩道でいったん停止し、左右を確認して渡る。子どもたちは「かわいい」と2頭を触り、一緒に歩く。

委嘱状を手にする訓練士と委嘱を受けた「ベッキー号」(左)と「マックス号」=奈良県桜井市三輪の桜井署
委嘱状を手にする訓練士と委嘱を受けた「ベッキー号」(左)と「マックス号」=奈良県桜井市三輪の桜井署

 2頭はラブラドルレトリバー「マックス号」(オス、6歳)と「ベッキー号」(メス、9歳)。手や足に障害のある人たちの生活を支える介助犬だ。昨年7月から幼稚園や小学校の交通安全教室に呼ばれ、桜井署は戌(いぬ)年の今年、「交通安全指導犬」を委嘱した。県内で初の試みだそうだ。

 子どもたちから署に「マックスやベッキーが安全を確認する姿をみて、私も安全に気をつけようと思った」などと書かれた手紙が届き、保護者からも「上級生のクラスでもやってほしい」という声があがる。

 きっかけは、ある桜井署員の思いつきだった。

 桜井署管内は県の約6分の1の面積を占め、山間部が多い。バスで通学し、歩く機会が少ない子どもたちは交通ルールへの意識が薄い。桜井署の宇陀警察庁舎交通事故係の森島裕之主任(59)はそう感じていた。

 「賢い犬に力を貸してもらえませんか」。知り合いだったNPO法人近畿介助犬協会(奈良市)の柳本忠二理事長(73)に相談した。柳本さんは「介助犬が社会で知られるきっかけになるのでは」と快諾した。

 普通の交通安全教室より子どもたちの食いつきがかなり良い、と喜ぶ森島さん。「ワンちゃんと安全に気をつけて一緒に歩いたことを、ずっと覚えていてくれたらうれしいです」

(神宮司実玲)

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