若い“ババ”が猫の保護活動 猫のかわいさは、孫に匹敵する?!
娘がもらってきた子猫が縁で、40代で猫を飼い始め、やがて保護活動に目覚めた女性がいる。TNR(捕獲、去勢・避妊し、地域に戻す活動)や預かりもしている。孫もいる若い“おばあちゃん”に会いに行ってみた。
(末尾に写真特集があります)
茨城県日立市。玄関にエステの看板を掲げた一戸建てが、歩さん(47)の自宅だ。
「エステシャンをしながら、猫の保護活動もしています」
案内されたのは、シャンデリアが吊るされた2階の洋間。窓際に置いたケージの中に三毛猫が座り、ケージの外では、2匹のふくよかな猫がくつろいでいる。
「昨年まで息子(20)家族の部屋だったんですが、昨年自立して部屋が空いたので、保護猫の部屋にしました」
ケージの中にいる三毛猫は、息子のお嫁さんが散歩中に出くわし、『お義母さん、猫がいるよー』と連絡をくれたのだという。
駆け付けてみると、母猫が生後5か月くらいの子猫を4匹連れてうろうろしていた。
保護した子猫のうち2匹は無事にお嫁入りし、残りの子猫2匹は知り合いの保護カフェに預けた。今は親猫の家族を探しているという。
熱心に活動の様子を話す歩さんのそばに、ツツツと2匹の猫が寄ってくる。
「この子たちは、飼い猫の『すみお』(オス、4歳)と『ゆず』(メス、3歳)。他にも『さくら』というちょっと凶暴な飼い猫がいたり、庭にも外猫がいたり。とにかく毎日、猫と触れ合っています。本業はエステだけど、家でやっているから猫三昧(笑)」
とはいえ、昔から猫好きだったわけではない。猫デビューは40過ぎてからだという。きっかけは、娘(22)だった。
「5年前、高校生の時に、学校から『すみお』を連れてきました。美術の先生が保護活動をしていて、ある時、『先生が子猫を保護していたら1匹余った。飼いたい』と娘が言ってきて。当時は賃貸暮らしでチワワが1匹いたし、反対しました。何より問題は、私がシングルマザーで余裕がなかったことです」
それでも「どうしても」という娘に負けて『すみお』を受け入れると、その可愛さに驚いたという。チワワと『すみお』も仲良くなった。すると1年後、娘がまた「駅に子猫がいる、弱ってるので連れて帰りたい」と言ってきた。それが『ゆず』だ。
「痩せて自分の腕を吸って血まめになっていて……『飼うしかないわね』となって。もっとも『すみお』が『ゆず』の面倒をみたので手はかかないし、動物同士の関係に心が癒されちゃいました」
やがて知人の紹介で今の夫と出会って結婚。子ども2人と犬と猫を連れて、今の一戸建てで新たな生活を始めた。
そんなある晩、歩さんは車を運転中に道路にうずくまる猫を見つけた。怪我をしているようだった。
「近づくと威嚇してどこかに行ってしまった。こういう場合、どうしたらいいのか。家に帰ってネットで“猫 怪我、保護”と検索し、いろいろなブログを読み漁りました。その時、世の中には可哀そうな猫がいるんだと初めて知ったんです。TNRという言葉を知ったのもその頃で、保護団体さんから捕獲機を買ったりしました」
自分でもブログを始め、それで同世代の女性と知り合い、保護活動について教えてもらったり、互いに猫を預ったり、という仲にもなった。
「今回保護した三毛猫の家族は、1台の捕獲機では足りないから、猫友達から3台借りました。なんだか、40歳過ぎて、猫を飼って、再婚して、保護活動もして……がらっと違う人生がはじまったけど、今、充実しています。娘も私の再婚後、追うように結婚したんですよ」」
話を聞いていると、「ママー」と、小さな坊やが部屋に入ってきた。娘さんの子ども(2歳)だ。
「ママでなくて、実際はババなんだけど、孫が間違えるんですよ(笑)。赤ちゃんの時には『すみお』や『ゆず』が寄り添って、見守っていました。赤ちゃんが大切なものなんだって、わかっていたみたい」
一階に下りると、『すみお』も『ゆず』もくっついてきた。居間には孫のジャングルジムと、猫のキャットタワーが、並んで置かれている。
歩さんがいう。
「最近、キャットタワーを4台も買っちゃって。娘に、孫と猫と『どっちが大事なの?』と聞かれてしまった(笑)。そりゃあ……どっちも大事!」
猫と家族に囲まれて、若いおばあちゃんの奮闘は続く。
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