豊臣は猫、徳川は犬…「大坂夏の陣」を動物キャラで描いてみた

黒煙をあげる大坂城天守=絵本の一場面から
黒煙をあげる大坂城天守=絵本の一場面から

 ネコやイヌなど動物をキャラクターにして約400年前の大坂城落城を描いた絵本を、兵庫県西宮市のイラストレーター、西村かおりさん(52)が出版した。幼い日に聞いた菩提(ぼだい)寺の言い伝えを題材に、戦火の中を逃げ惑う庶民の姿を「鳥獣戯画」風に再現している。


 タイトルは「大坂夏の陣 にゃんたときはち」(清風堂書店)。民兵として豊臣軍に加わった2人の町衆が、混乱に陥った城下町で逃げ遅れそうになっていた寺の住職を助け、淀川河口から船で沖へ脱出するまでの逃避行を描いている。

 

絵本「大坂夏の陣 にゃんたときはち」を手にする西村かおりさん=兵庫県西宮市
絵本「大坂夏の陣 にゃんたときはち」を手にする西村かおりさん=兵庫県西宮市

 西村さんは小学生のころ、お盆に大阪府内の祖母宅へ遊びに行き、大阪城の南側にある菩提寺の老住職から、寺で語り継がれてきたという落城当時の住職の体験談を聞かされた。


「御主(おっつ)さん(お坊さん)、早(は)よ逃げな城が落ちまっせ」。当時の住職は、南から迫る徳川軍を避けて北へ北へと走る町衆からこう声をかけられ、大坂城の中を通り抜けて淀川方面へ逃れたという。


 その際、あちこちで略奪や人さらいが横行。「城の中はえらい人混みで……」「船場も天満も火の海で……」と、まるで見てきたかのように話す老住職の口ぶりが、子供心に強く印象に残った。


 イラストレーターとして絵本の題材を探していた2010年ごろ、この話を思い出し、大坂夏の陣の歴史を調べてみた。


 すると、老住職の話と符合するような史実や伝説が幾つも見つかり、「単なる昔話じゃなかったんだ」と確信。現在の大阪城天守閣が所蔵する「大坂夏の陣図屛風(びょうぶ)」などを参考に、和紙に墨で物語を描き始めた。

 

炎上した天満宮付近を逃げ惑う町衆=絵本の一場面から
炎上した天満宮付近を逃げ惑う町衆=絵本の一場面から

 登場人物を動物に置き換えたのは、「元の話があまりにもえげつなく、人間のままだと生々しすぎるから」。豊臣軍はネコ、徳川軍はイヌ、住職はカメ、町衆はタヌキやサルなどの姿で描いた。特に主人公2人は、自宅の飼いネコ2匹をモデルにしたという。


 こうして誕生した動物キャラたちはユーモラスでありながら、戦乱に巻き込まれた庶民の悲哀が漂う。


「この作品を描いていた頃、戦乱のシリアから脱出した難民がボートで欧州にたどり着くニュースを見て、今も昔も戦争の情景は変わらないと感じました」と西村さん。「戦争で一番大変な思いをするのは、いつも庶民なんですね」と話す。


 縦横20センチで32ページ。1200円(税別)。問い合わせは清風堂書店(06・6313・1390)。


(宮武努)

朝日新聞
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