保護犬活動はシニアにおすすめ! ゆるくつながり、息長い支援

大阪府高槻市の伊藤順子(よりこ)さん(63)は、月に3度は、伊丹空港に保護犬を迎えにいく。その多くが、鹿児島県の奄美大島や徳之島で殺処分寸前だった子たちだ。「離島は避妊や去勢が定着しておらず、殺処分しか選択肢がない厳しい状況のところが多い」と話す。
犬たちを引き取る際に、障がいの有無や年齢など条件は設けない。どんな子も受け入れ、年間約130頭に新しい飼い主を見つけている。
本業はピアノ講師。大学などで教えながら、二女を育ててきた。犬好きだと近所に知られていたためか、以前から迷い犬が庭や玄関に置かれ、飼い主探しをしてきた。
2005年に、両親の介護を見据え、夫と三重県から実家の高槻市に転居。愛犬の散歩で知り合った岩井文恵さん(69)に保護犬の里親探しをしたいと話すと、二世帯住宅の一階を複数頭が住める「犬の合宿所」として快く開放してくれた。
里親につなげるまで一時保護する「預かりさん」を募ると、シニア世代や子育て世帯からすぐに手が挙がった。シニア世代の多くが「最期まで飼える自信はないけれど、動物と暮らしたい」という人だった。今その数は20人前後。
「びびり犬。でも情が厚く頼もしいパートナー」「脳性まひで脚が不自由。ほわんとした天使のような心」……。
普段からじっくり犬たちに向き合い、大切に世話をしてくれている彼らが、ネット上で上手に魅力を発信してくれるようになった。
かみ癖があった子、片目の子、骨折の放置が原因で、スムーズに歩くことが難しい子にも愛情たっぷりの飼い主が見つかった。
原則、寄付は募らない。預かりさんも自由参加。緩くつながり、機動的に息長い支援を優先すると、今の形になった。「保護犬活動は、シニアにもお勧めです。じわじわ広がって、動物も人も大事にできる社会に近づけたい」
(山内深紗子)
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