リアルな猫目線動画! 噂のVRカメラで、猫を撮影してみた
最近ちまたで注目されているVR(バーチャルリアリティ)カメラ。写真のように切り取られた世界ではなく、360度の空間を動画や静止画で記録して再現でき、スポーツ、医療の分野や、野生動物の観察などに活用されている。これで猫の動画を撮ったらどうなるか。VRカメラを借りて保護猫カフェで試してみた。さて、その結果は……。
(末尾に写真特集があります)
10月の午後、埼玉県川越市にある保護猫カフェ「ねこかつ」を訪ねた。ここには常時、30~40匹の保護猫たちがいる。多くは、飼い主に置き去りにされたり、保健所に持ちこまれたりして、保護された成猫。飼い主のいない保護猫と、猫を飼いたい人とを引き合わせる場だ。
手と足を消毒してカフェに入ると、平日昼間にもかかわらず10数人のお客がいた。その周りに、黒白、キジトラ、三毛、白、黒など、いろいろな猫たち。キャットタワーに上ったり、床で追いかけっこをしたり、ごろごろ寝そべったり、それぞれ自由に過ごしている。
猫の様子を撮るため、まずVRカメラを日当たりのよい窓辺に置いてみた。カメラは手のひらサイズの球体型(両面にレンズ)。スタンドを付けても、床からレンズまで高さが10センチ足らずと小さい。ちょうど猫の目線で撮影できる。ただし、もし猫パンチをくらえば、簡単に倒れてしまいそうな大きさだ。
操作はいたって簡単。本体についたスイッチボタンを押すと、そばにいた猫が鼻先を近づけて、“これはなんだ?”という風にくんくん匂いを嗅いだ。カメラは動かず、音もしない。猫はそのまま座ってガン無視を決め込んだ。しかし、こちらにすれば、むしろ好都合。猫がカメラを倒さずに近づいてくれれば、面白い映像が撮れそうだ。
猫たちのおやつの時間。「ねこかつ」代表の梅田達也さんが部屋の中央でおやつを配る前に、VRカメラを床にセットしてみた。すると、おやつをめがけて、3匹、4匹、5匹と、猫が集まってきた。迫力ある猫まみれの映像には、猫カフェならではの面白さがある(自画自賛)。
カメラに興味を示して近づいてきた三毛模様の猫は、多頭飼育が崩壊した東京都清瀬市の集合住宅から、44匹の猫とともにレスキューした雌猫「きよみ」だと、梅田さんが説明してくれた。
「最近、多頭崩壊も多いですね。でも『きよみ』は、同じく崩壊現場から救出した雄猫と共にもう新しいお家が決まりました。ここには障害のある猫や、高齢者が亡くなった家に残された猫などもいますが、ここ最近、大人の保護猫への理解を示す方が増えたように思います。中高年になって新たに猫を迎える場合、猫の寿命を考えて、子猫ではなく、あえて成猫をと申し出られる方もいます」
保護猫カフェには、出会いが目的ではなく、猫とのふれ合いを楽しみにやって来る人たちもいる。
30代の女性は、家にインコが数羽いて「飼いたい気持ちはあるけど、どうしても飼えない」という。それで月に3、4回、仕事が休みの日に、こうして保護カフェを訪れるそうだ。
「たくさん猫がいるので、この空間にいるだけで癒されます」
今回撮影したような猫カフェのVR動画は、猫を飼えない猫好きの人にとって、カフェに来られない時にも“いつでもどこでも”猫まみれのカフェ気分が味わえるコンテンツにもなりそうだ。逆にお店などのPRにも重宝しそうだ。
VRカメラは現在、数社から販売されており、3万円台で手に入るものもある。かわいい愛猫を写真とは違う形で撮ってみたい、いろんな角度から“猫のいる空間”をまるごと紹介したいというインスタグラマーにもおすすめのツールだ。
ペット好き、カメラ好きな人に朗報もある。そんなVRを普及、発展させるため、朝日新聞社メディアラボがVR動画・写真のコンテスト「朝日VRアワード」を開催している。大賞10万円など賞金も出る。募集部門の一つは、犬や猫などペットを被写体とした「ペット」部門。12月末まで募集し、入賞作品は来年1月にweb公開される予定だ。みなさん、マスコミ界も大注目の新しい表現方法に挑戦してみてはいかが。
(藤村かおり)
場所:埼玉県川越市新富町1-17-6 3階(クレアモール通り商店街内)
営業時間・定休日:12:00〜20:00、月曜定休(月曜日は祝日の場合は営業)
料金:30分600円、1時間1000円、以降30分ごとに400円(1ペットボトル付き)
※保護猫譲渡の場合は、基本的医療費及び施設維持費のご負担(約30000円)をお願いしています。詳しくはお問い合わせください。
TEL 070-5029-8392
http://www.nekokatsu.info/index.html
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