熊本地震で被災した犬たちに居場所 レストランがシェルター開設
熊本地震で一緒に暮らせなくなった愛犬を預かります――。熊本県西原村のレストラン「阿蘇マロンの樹(き)」で3日、「阿蘇くまもとシェルター」の活動が始まった。レストランを経営する園田和也さん(53)は「元の生活に戻れるまで安心して過ごせる場所を提供したい」と話す。
ペット同伴で食事やバーベキューができる「マロンの樹」は、阿蘇の山々が見渡せる高台にある。周囲に住宅はなく、園田さんは「ほえる声やにおいを気にする人がいない。落ち着いて過ごせる」と話す。
シェルターづくりの準備を進めていた山本志穂さん(60)の活動に賛同し、場所の提供を決めた。1500坪の敷地には、ドッグランや雨天でも犬が遊べる温室広場などがある。小型犬から大型犬まで月に1万2千~1万8千円で預かって人件費や施設維持費に充て、トリマーや獣医師も定期的に訪れる。ただ、シェルターの人手は足りておらず、ボランティアや運営費の寄付を募っている。
熊本地震後、仮設住宅やみなし仮設住宅に入り、家の狭さやストレスで飼い主と暮らせなくなるペットが多くいた。昨年6月、そんなペットを預かる「熊本地震ペット救援センター」が大分県九重町にできた。約1年半で犬50匹、猫20匹を受け入れたが、このほど閉鎖し、「マロンの樹」が17匹を引き受けた。
熊本県甲佐町のプレハブ仮設で暮らす酒田一博さん(57)が飼っていた4歳の大型犬「リン」もそのうちの一匹。自宅は地震で大規模半壊し、解体。1カ月ほど4畳半の広さの仮設で母親も含め一緒に暮らしたが、それぞれがストレスを感じた。ほえるため近所迷惑も心配で、九重町に預けていた。自宅の再建は来年初めまでかかるため、閉鎖後を案じていた。「安心して預けられてありがたい」と話した。
(池上桃子)
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