猫の視点で、街の歴史えがくコメディー演劇「上狛キャッツ」

130年以上続く茶問屋街で知られる京都府木津川市山城町の上狛(かみこま)地区。その歴史を猫の視点で描く演劇「上狛キャッツ」が10月、再上演される。昨年、山城町で開かれた芸術祭「木津川アート2016」で披露され、好評を得たコメディーだ。「リターンズ」と銘打って約1年ぶりに地区で上演し、お茶にゆかりの深い上狛の魅力を発信する。
主催は、スタッフなどとして木津川アートにかかわった市民らで作る「木津川お茶猫プロジェクト」。代表の福祉施設職員、濱(はま)茂さん(40)も上狛地区を担当したスタッフだった。仲間とアイデアを出し合って誕生させた上狛キャッツを、昨年は地区の小さな倉庫で4回上演。それでも毎回100人以上が詰めかけた。
上狛では江戸時代末期から、お茶の集荷や加工、木津川の水運を利用した輸出を手がける茶問屋街が発達した。上狛キャッツの舞台は、神戸へ出荷される茶箱が並んでいた「上狛浜」だ。昨年同様、関西を拠点に主に海外で活動している劇団「ガンボ」のほか、市内の劇団や市民有志合わせて約20人が出演する。
上狛を去ろうとするヤング猫を引き留めようと、長老猫や女王猫、ポリス猫たちが集会を開く。上狛からお茶が輸出された歴史など、街のよさをあの手この手で教えて説得する約1時間のストーリーだ。紙芝居や字幕、殺陣(たて)、ドラムによる音響効果など、様々な演出で観客を楽しませる。
脚本を書いたのは、ガンボ代表の田村佳代さん(47)。丹念に資料を調べ、上狛の人たちに取材もして、8カ月かけて完成させた。再上演にあたり、再び地区で取材して加筆した。

濱さんらによると、昨年の上演後、「上狛の小学校で上演してほしい」という声がいくつも寄せられた。今年1月にプロジェクトを立ち上げた濱さんは「上狛キャッツは市民の誇りを表現してくれた。できれば何回も公演していきたい」。プロジェクトの芸術監督も引き受ける田村さんは「昨年は地元のお年寄りたちを中心に評判が良かったようで、びっくりしました。お茶が伝わっていった国々で公演したい」と夢を描く。
10月8、9、14、15日の午後5時開演。会場は茶問屋街近くの古い倉庫。木津川市役所の山城支所付近から、謎解きなどをしながら街を歩いて会場へ向かう「謎解きキット」付きチケットが中学生以上1500円、小学生千円。公演のみのチケットは各500円引き。
問い合わせは濱さん(090・9881・1871)へ。詳細は同プロジェクトのホームページ(http://mocha-neco.moon.bindcloud.jp)で。
(伊藤誠)
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