猫の無我夢中な一瞬、満載「必死すぎるネコ」 撮影者も必死
町の片隅や公園にいる猫が、突然行動を起こす。飛び上がって虫を追ったり、仲間にけんかを売ったり、木をがりがりかじったり。その意外な表情や仕草に釘づけになること間違いなしの写真集『必死すぎるネコ』(写真・沖昌之、辰巳出版)が発売された。
(末尾に写真特集があります)
写真集を開くと、黒猫から逃げる瞬間の茶白の猫が現れる。口を無防備にあけ、誰かに助けを求めるような情けない顔。どう考えても黒猫のほうが弱そうなのにどうして? 次のページでは、その逃げた猫が別の猫を威嚇中。「はあ? おまえ誰に許可とってここにいるんだよ」。なんて声が聞こえてきそうだ。
写真集は、辰巳出版の雑誌「猫びより」の人気連載をベースに未掲載写真も収録し書籍化したもの。90枚の写真で構成される。登場する猫のほとんどは地域猫や外の猫。首輪もなく、毛や足裏もちょっと汚れている。決して「美形」とはいえない。あるがままの動物の本能が“つい出ちゃった”瞬間の写真が集められているのだ。
その無防備な感じの姿が、何とも魅力的だ。
そして、なぜか写真にはキャプションがない。これがどこの町なのか、猫は何をしているのか、説明が一切ない。辰巳出版の小林裕子さんが説明する。
「見る人によって、いかようにもシチュエーションの解釈ができると思い、説明を入れませんでした。写真をながめて『この猫は何がしたいの?』とわいてくる疑問に対し、あえて回答を出さないことで、楽しみ方が無限に広がるように思っています」
確かに見方は自由。どこかの家を塀からのぞいている猫は「家政婦は見た!」のような噂好きのおばさんにも見える。両前足を思い切り伸ばして空中の蝶を捕まえようとしている写真は、可愛さを超えて、切なささえ漂う。
こんな猫の「決定的な瞬間」には、どんなふうにしらた立ち会えるのか。撮影者の沖昌之さん(39歳)に聞いてみた。
「蝶を捕まえようとする写真は僕もよく撮れたなって思います(笑)。張り込んでしばらく猫に動きがなかったので近所を2周して戻ったら、蝶が飛んできたんです。しゃがみこんでいた猫が飛びかかりそうな気配があったので、すかさずシャッターを押しました」
猫を専門に撮り始めて3年目になる沖さんだが、「狙って撮ろうとすると撮れない」と話す。
「カメラをバッグにしまった瞬間に面白いことが起きたりする。だから焦らず、猫の気ままさと“のんびり”付き合うのが大事だとわかってきた」
猫にもタイプがあり、撮ろうとすると近づいてきたり、逆に近づくと逃げたり、まちまちだという。
だが、気ままな猫に付き合っていると、周囲から怪しまれ、声をかけられることもあるのだとか。
「民家の駐車場にいる猫を撮ろうとしていたら、住人が『あんた何してる?』と出てきて。『猫を撮っています』とカメラを見せたら『あー、猫だな』と納得してくれました。深夜の道路で這うようにして猫の写真を撮っていたら、自転車で来たおまわりさんに『大丈夫ですか?』と声をかけられたこともあります。道に倒れていると思われたみたいで(笑)。カメラを見せると『大変なお仕事をされていますね』とねぎらわれました」
沖さん自身が、猫を敬い、愛してやまないのだ。
「僕、必死って、ステキな言葉だと思うんです」
猫も作り手も、みなが夢中になって“真剣”に挑んだ結果が、この写真集にはあふれている。
(藤村かおり)
〇 「必死すぎるネコ」ミニパネル展
期間:2017年9月18日(月)~
場所:神保町にゃんこ堂
〇 「必死すぎるネコ」展
期間:2017年9月21日(木)~2017年10月16日( 月)
場所:町田マルイ6F コミコミスタジオ町田
〇 「必死すぎるネコ」出版記念 サイン会
期間:2017年10月1日
第一部 13:00~14:30(予定)
第二部 15:00~16:30(予定)
場所:町田マルイ6F コミコミスタジオ町田
〇 「世にも不思議な猫世界」&「必死すぎるネコ」展
期間:2017年10月4日(火)~10月16日(月)
場所:町田マルイ2F イベントスペース
〇 「必死すぎるネコ」展
期間:2017年10月13日(金)~2017年10月22日( 日)
場所:表参道TOBICHI 2 2階
〇 「必死すぎるネコ」展
期間:2017年11月23日(木)~2017年11月26日( 日)
場所:GALLERY 35 KYOTO KAMANZA(京都市中京区)
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。