映画化された“奇跡の猫”ボブと、飼い主をインタビュー
運命的に出会ったストリートミュージシャン・ジェームズと、野良猫・ボブの実話を描いた映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』。8月26日(土)の全国公開にさきがけ、原作者のジェームズ・ボーエンさんと、飼い猫のボブがイギリスから初来日した。
(末尾に写真特集があります)
2人がおこした奇跡の物語は感動を呼んだ。映画に登場するボブは、ジェームズさんを追ってバスに乗ったり、ジェームズさんの肩に乗って外出したり“型破り”な姿を見せる。そんなボブについて、ジェームズさんに話を聞いた。
――日本にも、たくさんのファンがいることを知っていましたか?
実は知っていました。ぼくたちの物語や活動に、少しでも興味を持ってもらうだけで嬉しいことですが、日本から熱い応援をしてくださる方々がいて本当に光栄です。小さい頃から日本に興味があったので、こんな形で呼んでもらって誇らしいよ。
――映画に出演している猫が、ボブ本人(本猫)だと聞いて驚きました。
そうでしょう。ハリウッドでもなかなか聞いたことがない話だよね。ボブは元々出演の予定はなく、ボブ役の猫は7匹いたんです。
だけど、走ったりするスタント以外の場面、特にコヴェントカーデン(ロンドン中心部のマーケット)のバスキング(路上演奏)のシーンでは、猫たちは良い演技ができなくなってしまうんです。
それで、ボブにやってもらったら「すごく良いね!」ってことになって。他の猫に演技してもらう場面もありますが、基本的にボブが演じてくれました。
――ボブは初日から撮影になじみましたか?
大丈夫でした。ボブはたくさんの人に囲まれても、一切動じません。ぼくと一緒にいれば誰がいても大丈夫で、とても社交的です。
映画で描かれているように、ボブを置いて仕事に出かけようとすると、追いかけてきてバスに乗ってしまうしね。ストイックで好奇心旺盛、冒険が大好きな猫です。
――ボブは、いつから肩に乗るようになったのですか?
ボブが仕事場についてくるようになったとき、バスを降りて、リードを付けて抱っこしたけど収まらなくて、自分から肩に登ったんです。
多分、ぼくの身長が高い(6フィート3インチ、約190センチ)から、肩に乗ると安全に感じるんじゃないかな。だからボブは、高さは怖くないので、日本滞在中のホテルでは49階から自分の街みたいに東京を見下ろして楽しそうにしているよ。
――小さい頃から猫を飼っていたそうですが、猫とはどんな存在ですか?
独立心がありながら、同時に脆さも持っていて、守ってあげたい存在です。どの猫も人を必要としていると思っています。そのことを人は、猫との触れ合いの中で感じたり、学んだりするのではないでしょうか。
――今まで暮らしたことのある猫と、ボブの違いはありますか?
Yes!全然違うよ(笑)。猫は小さい頃からずっと飼っていたけど、ボブみたいな怖いもの知らずの猫はいませんね。
彼がぼくの人生に登場してくれて、心から光栄に思っているよ。ボブと出会ってから、人生において様々なことを成し遂げることができたから。ボブと出会えたことは“ボブのミステリー”と呼んでいます。だって、どうやってぼくの所へ来たのか分からないんだから。
――猫と良い関係を築くには何が大切ですか?
猫というものは、リスペクト(尊敬し、敬意を表す)を受けるべき存在です。あとは、お互いにたくさんの愛情を注がないとね。
――ジェームズさんの最近の活動を教えてください。
様々な動物愛護の団体や、ビッグイシューを始めとするホームレスの自立支援の活動などにも参加させてもらっています。スポークスパーソンとして、チャリティーショーで自分の物語を語らせてもらうのが主な活動です。
――今後、ボブとどう暮らしていきたいですか?
平和に暮らしたいですね。ミンちゃんという子猫の家族も増えました。今やっているボランティア活動を続けていきたいし、ボブを主人公にしたアニメも制作中です。今年中にWEBで公開したいと思っています。
1979年サリー(イギリス南東部)生まれ。 幼少期にオーストラリアに移住。1997年、プロのミュージシャンを志しイギリスに戻るが、様々な困難に遭い路上生活者となる。バスキング(路上演奏)で生計を立てていた2007年春、野良猫のボブと出会い、ボブとの一風変わった「共演パフォーマンス」、演奏後のハイタッチが話題となり一躍有名に。その後、薬物依存の克服などを経て、「ボブという名のストリート・キャット」という本を執筆。世界中で大ベストセラーに。現在、ジェームズはホームレスや動物のための慈善活動に従事している。
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