自然のままに暮らす“縁側ネコ” 強く、かわいい里山での暮らし
飼い猫ではなく、地域猫でもない「縁側ネコ」と呼ばれる猫たちをご存じだろうか? 山梨市のとある里山に暮らす「半野生」の縁側ネコたちの春夏秋冬を紹介する『縁側ネコ一家 ありのまま ハハケルとマイケルとミカンたち』(さくら舎)が発売された。
(末尾にフォトギャラリーがあります)
著者は「縁側ネコ」の名付け親であり、「縁側ネコ研究家」の肩書も持つ渡部久さん。2000種を超える生物と触れてきた経験をもとに、全国各地でイベントや講演、執筆を行っている。
渡部さんと縁側ネコの“共生関係”は約10年前、渡辺さんが山梨市の里山の一角にウーパールーパーの研究所を建てたとき、もともとその土地を縄張りにしていた一匹のメス猫と出会ったことから始まった。
メス猫との距離をゆっくり縮めた渡部さんは、メス猫を「ハハケル」と名付け、ハハケルが産んだ子猫たちとともに、猫たちの面倒をみることになる。面倒をみると言っても、渡部さんが縁側ネコにすることは(1)縁側、庭、畑という住む場所を提供する(2)1日2回のエサやり。基本的にこの2つだけだ。
一方、縄張り意識の強い縁側ネコは、縁側、庭、畑を自らのテリトリーとし、人間が寝る夜の間、シカやサル、タヌキなどの野生動物の侵入を防ぐ役割を果たす。あくまで結果的にだが、人間が畑で育てたブドウやリンゴなどの作物を守っているのだ。そして日中、猫たちは人の視界の中で安心して眠ることができる。
本書に登場する縁側ネコは、総勢20匹ほど。野生動物に立ち向かう強さを持つ縁側ネコたちは、人間に甘えるかわいらしさも併せ持っている。いつの間にか互いに支え合う共生関係ができた縁側ネコと渡部さんのあたたかな空気が、写真と文章から伝わってくる。ハハケルが渡部さんに自分の子猫を見せにくるシーンは、なんとも微笑ましい。
書籍の担当編集者にみどころを聞いた。
「縁側ネコは、ある時は険しく、ある時は思いっきり甘えん坊。このギャップがとても魅力的です。最もその特徴が出ているのが、縁側ネコたちの長男、マイケル(ハハケルの子)です。マイケルは、野生動物に厳しく、人には優しく、人が大事にしているウーパールーパーには手を出さないという賢い猫です。文章とともにマイケルの表情や仕草を捉えた写真に注目していただきたいです。この本の主人公は“ミスター縁側ネコ・マイケル”です」
「著者の渡部久さんは、甘やかすでもなく突き放すでもない深いところでの動物愛に満ちています。そんな渡部さんでなければ書けない文章、撮れない写真がみどころです」
冬もこたつで丸くなることもなく、雪の中を歩き回り、たくましく自然のままに生きる縁側ネコたちの暮らしぶりに触れてみてはいかがだろうか。
著者:渡部久
出版社:さくら舎
定価:1,400円+税
頁数:164ページ
判型:四六判/並製
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