これって犬の反抗期? 号令に聞こえないふり、飼い主吠える…
何となく親の言うことに反発してしまう。
それが「反抗期」です。犬にも「反抗期」があるらしいと聞き、年代別に読者モデル犬を取材!
さらに中村太先生に話をうかがいました!
Text:Eriko Itoh
Photos:Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri
10カ月「いちこ」 吠えた後に落ち込む
東京都/足木いちこ(メス・10ヶ月)足木家の1番目の犬だから〝いちこ〟。来た当初は臆病でケージから一歩出るのもためらっていたが、最近では好奇心旺盛でフレンドリー。
取材当日、スタッフをゴキゲンで迎えてくれた、いちこ。人懐こい様子に反抗期の様子はかけらも見えないが、飼い主のまどかさんによると端々に強気な態度が見えているという。
「一番感じるのは、食後に器を下げる時ですね。いちこが食べ終わったと納得していない時に下げようとすると吠えることがあります」とまどかさん。
最後まできれいに舐め取り、いちこが器から離れたら終了の合図。器を下げても怒ることはないそうだ。
「吠えてしまった自分に落ち込んだ様子も見せていますが、寝ている時に撫でるとワンと言うこともあるので、自己主張は激しくなった気がしますね」
その他、散歩中にくわえた木の枝や小石を放そうとしないこともある。誤飲が怖いのでオヤツと交換という方法をとっているが、効かない場合も。
「外の方が強気になるようです。怒られにくいと知っているのかも」
5歳「黄金」 散歩中に突然座り込む
東京都/小川黄金(オス・5歳)推定3歳で小川家に来た。来た頃は痩せて表情の少ない犬だったが、桜織さんたちのたっぷりの愛情で毛づやもよくなり、表情も豊かに。ヒーターの前で丸くなるのが大好き。
小川家の黄金は保護犬だ。2~3週間の短期預かりの予定だったが、「預かって2~3日でこの子はうちの子だと主人と意見が一致しました」と奥様の桜織さん。黄金はそのまま正式に、小川家の一員になったのだ。
そういった経緯もあり、黄金は基本的にとてもいい子。桜織さんがトレーナーにしっかり教わったおかげで、基本的なコマンドもばっちりなのだ。
しかし、1年ほど前から散歩中に突然座り込むようになった。しばらく経つと何事もなかったように歩き出すこともあるし、まったく動かなくなる場合もある。後者の場合は仕方ないので、桜織さんが黄金を抱きかかえて、えっちらおっちらと帰宅するという。
「黄金が行きたくない方向に行こうとしたり、もう少し歩きたい時などに座り込んでいるようですが、法則性は今のところわかっていません。ワガママがいえるようになったのかも?」
10歳「鈴」 散歩の後足ふきを嫌がる
神奈川県/内野 鈴(メス・10歳)めったに吠えることのない物静かなオトナ女子。基本的に人懐っこいが、一番好きなのは「なぜか小太りで汗のにおいがする人」だそう。有機的なにおいが好きなのかも?
「ずっと犬が好きで、飼うならやはり私たちのペースに合いやすそうな和犬がいいなと思っていました」と飼い主の伸香さん。迎えた鈴は、想像通り内野家の生活ペースになじんだという。
「甘噛みは多少ありましたが、さほど大きな問題もない子でした。若い頃は反抗期っぽいものもなかったと思いますが、最近散歩のあとの足拭きを嫌がるようになりましたね」
以前は泥のついた足を洗えたが、最近では足先を触られるのが嫌なようで、気分によっては歯を当ててくることも。年齢を重ねて、気むずかしい面が出てきたのかもと考えている。
「反抗期かはわかりませんが、洋服も得意ではありませんね。着せると、かたくなに動きません。この世の終わりのような顔をしていますよ」
表だった抵抗はないものの、全身から『嫌です』オーラを出している鈴。これも静かなる反抗期……かな?
14歳「こてつ」 食べ物ほしさにお手アピール
千葉県/武田こてつ(オス・14歳)康一さんと娘の悠里さんが、飼うなら柴と主張し、こてつが選ばれた。ヤングの頃は優秀な番犬で、見知らぬ人が来ると知らせてくれたそう。日なたぼっこが趣味の銀柴。
最後に登場するのは、ハイシニア代表の武田こてつ。御年14歳のこてつは、心臓病や首、腰のヘルニアを抱えつつ、日々を穏やかに過ごしている。
シニアになって、若い頃より頑固な面、反抗的な面は増えたのだろうか?「もともとのんびりした性格で、怒ったところを見たことがありませんでしたから、今でもあまり頑固とは感じません。ただ、食欲が増えたみたいで、食後も『何かください』とずっと訴えてきますね」と奥様の浩美さん。
この訴え方がいじらしい。ゴハンをくれる人である浩美さんに対して、ずっとオテをしているのだ。ちなみにもらえないとわかると、くるっと背を向けて自分の定位置で眠りにつく。
「若い頃は1匹の留守番も平気でしたが、最近は誰かがそばにいないと寂しがりますね。頑固といえば頑固かな」
そう言いつつ、こてつを見る目は愛情に満ちている武田夫妻だった。
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