犬や猫は家族! 殺処分ゼロめざす条例案を可決 茨城県議会
茨城県議会は最終日の22日、「県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」案を全会一致で可決した。最大会派「いばらき自民党」が中心となり、他の主要会派と共同提案した。茨城県は犬の殺処分数が全国的にみても多い。罰則規定はないが、飼い主や自治体に殺処分をなくすよう促し、汚名の返上を狙う。年内に施行する見通し。
犬と猫を合わせた2015年度の殺処分数は、3612頭。県は殺処分ゼロを達成するために、まずは、2023年度に1千頭未満とする目標を設けているが、いばらき自民党は取り組みを強化する必要があると判断した。
条例では、犬や猫は「家族同様の存在」とし、殺処分ゼロを目指すことを明確に宣言。飼い主には犬や猫が命を終えるまで飼い、途中で飼えなくなった場合は責任をもって譲渡するよう求めた。不妊手術で無計画な繁殖を防ぎ、マイクロチップや名札の装着も「努力義務」とした。県は目標を達成するため、ふるさと納税制度などを活用し、財源確保に努めるとした。
条例案を中心になってまとめた舘静馬議員は、収容された犬や猫の譲渡といった「出口」だけではなく、迷い犬・猫の発生を防ぐなど「入り口」の対策に重きを置いたと説明。「飼い主や自治体の意識を変えることが重要。条例の理念を広げていきたい」と話している。
(酒本友紀子)
■13市町村、不妊手術に助成
県によると、犬の殺処分数は05年度から8年連続で全国最多で、ここ3年は全国で2番目に多い。ただ、殺処分数は15年度が1279頭と、20年前の10分の1以下に減っている。
一方で目立ってきたのが猫の殺処分数だ。20年前の3分の1に減ったものの、ここ数年は横ばい。12年度以降は犬の処分数を上回る。都道府県は狂犬病予防法を根拠に犬を捕獲できるが、猫に対してはそうした権限がない。弱った猫や子猫の保護はできても元気な猫は捕まえられず、繁殖に歯止めをかけるには限界があるためだ。県は「野良猫の対策は急務」とする。
「不幸な命」を減らす取り組みをする自治体もある。01年度に潮来市が犬と猫の不妊手術費の助成を始めたのを皮切りに、12市町村が同様の制度を設ける。境、牛久、阿見の3市町では野良猫の手術費もボランティアらに助成している。
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