しからずに、してほしいことを教えて 柴犬流 シカトの極意⑥

犬が飼い主を無視するような態度をとることって結構ある。何故そうなってしまうのだろうか?改善方法なども含め、紹介しよう!

Text : Daizo Okauchi Photos : Teruhisa Tajiri

監修:西川文二先生


困った行動を無視し続けると改善されることがある

 飼い主も愛犬をシカトしたくなる時は多々ある。オヤツが欲しくてしつこく要求吠えしてきたり、忙しい時に遊んで! と誘ってきたり。愛犬を溺愛している飼い主であっても、疲れていたり、手が離せない用事があれば、相手にできないこともある。そんな愛犬の行動に困っている飼い主も多いことだろうと思う。どうやったらこの行動を改善できるだろうか? 解決策の一つは、無視し続けることだ。

 消去という方法がある。これは、いいことが起きることで頻度を増した行動に対して、いいことを出さなくして行動の頻度を減らしていくというもの。遊んでほしくて吠えて催促する行動を例に挙げよう。

 吠えた結果飼い主が遊んでくれたら、犬は「吠えたら相手にしてくれた」と学習し、その行動を繰り返すようになる。反対に、どんなに吠えても無視し続けると、その行動が消去される、つまりなくなるという。しかし、この方法にはリスクがある。消去が起こる前に一時的に行動がひどくなるのだ。この現象を消去バーストという。

「相手にしてほしいから、もっと吠えちゃえ!」あるいは「今までくれていたのになんで?」という感じ。

 この時に、例えば静かにさせるためにオヤツをあげたり、撫でてしまうと「ここまで吠えればいいものが出てきた」と学習し、要求吠えがさらに酷くなってしまうのだ。

「だから、要求吠えをなくしたければ吠えている限り報酬を与えないでください。もし要求吠えが起きるのがわかっているが吠えられると困る、そういう時はクレートで待機させ飼い主の姿を見させない、コングやガムなどを与えるなどの対応も必要です。」と、西川先生は言う。

 これは吠え以外に、飛びつきなどにも当てはまる。飛びついてきたら、相手にしなければ、消去バースト、つまり行動が一時的に悪化し、それでも相手にしないでいるとその行動は消去される。失敗すると悪化するのは怖いので、なかなかリスキーな方法ではある。試す場合は、専門家に相談しながら進めるほうが無難だろう。


シカトされない極意 それは揺るぎない信頼関係を築くこと
叱らず、してほしいことを教えると関係が良くなる

 愛犬に無視をされたくないならば根本的な関係性を見つめ直すことも大切。そのために、必要なことはいろいろあるが、特に重要なのは叱らないこと。そのために好ましい行動を教えてゆく。「こういう時は、こうすればよいんだね」ということを、その行動をとった時に報酬をあげながら教えることで、叱る場面は減ってゆくだろう。

「飼い主といい関係が築けている犬は、飼い主に注目し、自発的なアイコンタクトをよく取る犬に育つでしょう。お互いの目がよく合う、ということは信頼関係が築けている証拠。無視されることはなくなるはずです」

 なるほど、結局は、関係性がよければ無視されることも減るということ。なかなかシンプルだけれども、深い結論に落ち着いたのである。

こんな動作もシカトと同じ!?

 犬が他者と関わり合いたくない時にとる行動とはどんなものなのだろうか?

視線を外す

 人間もそうだが、犬だって関わり合いたくないものや生き物は見ないようにするのである。

フセをする

 べたーっとフセをして、あなたに興味がないことを伝える。このフセの様子。脱力感がはんぱない。

体を掻く

 何か他の行動をしていると、あまり相手にしてほしくなさそうに見えるから不思議だ。

背中を向ける

 これは、かなりわかりやすい。背中が、「放っておいてくれ」と語っているのである。


 他にもにおい嗅ぎを始める、鼻を舐める、顔を背ける、おじぎのようなポーズをとる、などが挙げられる。こうした意思表示は、覚えておくと、より愛犬を理解できる。

監修:西川文二先生

Can!Do!Pet Dog School主宰。公益社団法人JAHA認定家庭犬インストラクター。環境省主催「動物適性飼養講習会」講師。科学的な理論に基づくトレーニング方法は、多くの飼い主に支持されている。著書に『いぬのプーにおそわったこと』(サイゾー)

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