ピンが会いに来た! 全身を思い浮かべられない私のために

私の中で、ピンの姿がまた鮮やかによみがえりました
私の中で、ピンの姿がまた鮮やかによみがえりました

「眠れない」とか「眠れなかった」ということが人生で数えるほどしかなくて、横になったら3秒で寝付くタイプ。夜中に起きてしまうということもめったになくて、朝までグッスリ。こんな仕事をしているのに、早寝早起きです。

 そんな私が「眠れない」「眠れなかった」思いをしたのは、忘れもしない、14年8月、ピンが虹の橋を渡っていく前後のことでした。

 眠りが深いからなのか、それとも実は浅いからなのか、私は夢を見ることが滅多にありません。

 横で寝ている夫はいつもありえないような夢を見る人で、「空を飛ぶ」とか「崖から落っこちる」、はたまた、自分を含めた誰かの「お葬式」の夢もしょっちゅうで、「夢診断」の知識がない私でも、「それって……」と意味を考え込むようなことがしばしばあります。

 夫は何度か「夢にピンちゃんが出てきた」と私に伝えてきたこともあり、これまで、それが一度もない私は「いいなぁ」「ピンの夢だけは見たい」とボヤいていたのです。

 そんなある日の夜、目を覚まして、私たちと一緒にベッドで寝ているココとハンターがどこにいるか探したときのことです。

 私の足元の布団の上に、ハンターとココが仲良く座り、上半身を起こした私をじっと見ていたのです。

 暑くなっちゃって布団から出ちゃったのかなぁ。それにしても、ココとハンターが同じような格好で並んでいるとは珍しい夜もあるものだ……と再び上半身を倒すと、私のおなかのあたりにハンターがいるではありませんか。「え? じゃあ、さっきココの隣にいて私をジッと見ていたのはピン???」と思いながら、また寝てしまいました。

 夢だったのでしょうか。それとも、ピンが会いに来てくれたのでしょうか……。

 実は最近、毎朝、仏壇で拝む際、目を閉じてもピンの全身が浮かんでこなかったのです。いえ、顔や表情はクッキリと浮かぶのですが、ピンが自分のベッドに座っているときの、私の大好きなピンのカワイイ全身が思い浮かべられずにいたのです。

 仏壇にはありとあらゆる格好をしたピンの写真がたくさん飾ってあるので、それを見れば、そのときのピンが思い出されます。でも、ピンがいちばん穏やかな表情で私たちを見守っていてくれたときのピンの全身が浮かばなくなっていたのでした。

 そんな私に、ピンは、写真から飛び出して、会いに来てくれたのかな?と……。

 もちろん、ピンのことを忘れたことなんて一日もないし、前にも書かせていただいたように、私が毎日もっとも話しかけているのはピンです。でも、ピンの姿は私の中で少しだけボヤけてしまっていたのは事実。そんな私に「私の全身はこれよ」とばかりにアピールに来てくれたピンは、本当に私のことは全てお見通しの“賢犬”なんだなぁと改めて思ったものです。

 きっと夢だったのでしょう。でもピンの姿と顔がまた鮮明になりました。

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。「踊る!さんま御殿!!」「ノンストップ!」などを構成。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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