ノミ予防普及へ 情報発信が必要 メリアル・ジャパン社長
――世界的なペット分野の製薬会社。日本ではどんな展開を?
ノミやマダニの駆除薬やワクチンに強い会社として、ペットの製薬分野で世界シェア1、2位を争っています。日本では2014年に経口タイプのノミ・マダニ駆除薬「ネクスガード」を新たに発売し、「フロントライン」とともに主力製品になっています。
日本の犬の平均寿命は15歳近くまで延びてきました。屋内飼育が主流になったことに加え、フィラリア予防薬などの普及が大きかった。病気になる前に薬で予防するという意識を多くの飼い主さんに浸透させていきたいと、様々な活動に取り組んできました。
――ペットの健康管理について、飼い主の考え方はずいぶん成熟してきたように思います。
ノミやマダニの予防は、マダニを媒介して感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が13年に国内で初めて確認されたこともあって、関心が高まっています。それでも、予防をきちんとしている飼い主はまだ4割程度とみられます。ワクチン接種率も欧米に比べるとまだ低い。猫については、動物病院に連れて行くこと自体、ハードルが高い状況です。普及啓発のための情報発信がまだまだ必要だと痛感しています。
――今後の取り組みは?
ペットが健康に長生きし、飼い主とより長く暮らせるようにすることを第一に考えています。そのために革新性のある製品をより使いやすい形で提供していきたい。たとえば経口タイプの駆除薬は、じっとしているのが苦手な犬のことを考え、開発したわけです。
今後はさらにヘルスケア分野へと事業を広げていきます。歯磨き用品やシャンプーについて、製薬会社として科学的知見を踏まえた製品を開発していこうと思っています。今年9月には犬用デンタルガム「オーラベット」を発売しました。
また、がんの治療薬にも力を入れていきたい。がんになった犬の苦しみを緩和し、少しでも長生きできるようにするため、この分野の開発は重要だと考えています。
1956年生まれ。東大卒。92年、日本MSD(現メリアル・ジャパン)入社。コンパニオンアニマル部長を経て2014年から現職。チワワとトイプードルを飼う愛犬家。獣医師。
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