夜空を見上げる猫たち 『ネコヅメのよる』は猫ファン必読

『ネコヅメのよる』町田尚子作
『ネコヅメのよる』町田尚子作
■夜空見上げる視線の先に…

 今年、猫好きにはたまらない絵本が出た。『ネコヅメのよる』だ。かつて、こんな迫力をもって猫の顔が表紙絵になったことがあったろうか。魅力ある画力で、表紙からして存在感たっぷりだ。

 主人公の猫は、昭和を感じる日本家屋に暮らしている。描かれる家のつくりや床や梁(はり)、壁なども、大いにこの本の立役者になっているようだ。

 本文は「おや?」と始まる。家の階段に寝そべっている猫が、何かを感じるのだ。

「あれ?」と、次のページにもひと言。今度は自分用の寝床で毛づくろいをしていて、やはり何かを感じるのだ。

 このように、猫は耳を澄ませ、勘を働かせて、徐々にその「何か」に確信を得ていく。そして「まちがいない」、「こんやだ」となる。そのページがまた、見開きに猫の顔が大写しで迫力満点。グリーンの目が美しく輝いている。

 あたりが暗くなると、主人公と同じように「何か」を察した町の猫たちが、あっちからもこっちからも路地に出てくる。みな同じ方向へ向かい、暗い茂みの中の階段を列を成して上る。空の見える高い場所に集まるのだ。三毛もいればキジトラもいる。まさに「ネコ、ネコ、ネコ」。

 そんな猫たちが「わあ! でた!」と、一斉に後ろ足で立ち上がるその視線の先には、三日月ならぬ「ネコヅメ」。猫の指先からカーブして出てくるあの爪が、夜空に月の輝きをもって現れるのだ。

 猫は夜型の生き物だし、猫の目は月の満ち欠けのように変化する。この絵本はそういう猫の特徴はそのままに、さらに、猫の爪を天体に持ってきた発想が見事なのだ。

 うっとりと夜空の「ツメ」を見あげる猫たちの表情には、己を守る爪への尊厳まで見て取れて、その猫たちを見ている私までうっとりなのだ!

(WAVE出版・1512円)

朝日新聞
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