事故で足2本切断、2日間治療受けられず でも懸命に生きる柴犬
保護犬の柴犬“すみれちゃん”が、事故で2本の足を失いながら、ボランティアに支えられて懸命に生きる姿を追った書籍「二本あしのワンコ すみれちゃん、生きる」が出版された。
(末尾にフォトギャラリーがあります)
すみれちゃんは高崎市動物愛護センターで保護されていたが、2015年2月、譲渡会で飼い主のもとに引き取られた。
事故があったのは、その直後の4月。飼い主の家から行方不明になり、前橋市内の線路脇で大けがをして倒れているところを警察に保護された。電車の車輪に押しつぶされたらしく、左の前足と後ろ足に大けがを負っていた。
不幸が重なり、土曜日で市役所の担当者が休みだったため、飼い主が特定できず、すみれちゃんは“拾得物”として警察署で2日間を過ごすこととなった。治療を受けられず、水だけが与えられ、傷口にはウジがわいていたという。
その後、飼い主に引き渡され、動物病院で診察を受けることができた。だが、傷がひどいことや介護が必要になることから、安楽死も選択肢の一つとされた。
そんな状況を知ったNPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」の働きかけにより、すみれちゃんの命は救われた。同ネットは「自分たちが関わった命は、最後まで責任を持つ」という信念から、迷いながらも助ける決断をしたという。
すみれちゃんは今、ボランティア宅で元気に過ごし、里親探しも始まった。寄付金で車いすが作られ、散歩もできるようになった。2本の足だけで走ろうとまでするという。
群馬わんにゃんネットワークの理事長・飯田有紀子さんは、事故後のすみれちゃんについてこう語る。「私たちは、どうやってすみれの身体と心の傷を癒やそうか考えていました。それなのに、前を向いて進んでいるすみれの姿に、私たちボランティアのメンバーのほうが励まされているんです」
本の著者は、群馬わんにゃんネットワークを母体とする、すみれちゃんを応援するボランティア「すみれのしっぽ」。本文96ページで、小学生でも読めるように、ふりがなも付けられている。保護犬・保護猫の撮影ボランティアsoraさんによるカラー写真140点も見どころのひとつだ。セブン&アイ出版発行、1300円(税別)。
担当の編集者は「犬を飼うこと、保護犬を迎えることは、“命を預かる責任“がともなうということを、未来をつくる子どもたちに伝えられるよう、著者とともに動ければと思っております」と話している。
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