うさぎに多い病気の見つけ方 うさぎの診療実績の多い動物病院
ウサギやフェレット、ハムスターも人気の高いペットだ。そのいとおしい姿で、私たちを癒やしてくれる。だが、臆病だったり体調悪化を隠す癖があったりして、気がついたときには、重症化していることもある。体調の正確な把握と管理は、飼い主の責任だ。まず、ウサギについては、草食動物ならではの性格や体の特徴を理解しよう。飼い主が防いであげられる病気やけがは、実はとても多い。小さなサインを見逃さないことこそ、元気に育てるコツ。
文=編集部・金城珠代、石原美紀子
生活環境、食事内容の見直しで飼い主が防げる多くの病気
多くの学校や動物園で飼われてきたウサギを、近年ペットとして自宅に迎える人が増えている。だが、犬や猫とは違い、自然界で捕食される立場のウサギは臆病な動物だ。引っ越しや工事の音など、小さな環境の変化がストレスになり、病気の原因にさえなってしまう。汗による体温調節ができないため、部屋の温度と湿度はしっかり管理してあげたい。体の不調を隠す傾向があり、食べものを食べないなどの明らかな症状が出るころには重症化していることも。
「ウサギの病気の多くは、飼い主が普段の生活環境や食事内容を見直すことで防げる」
1999年に日本初のウサギ専門病院「さいとうラビットクリニック」(東京都北区)を開いた獣医師の斉藤久美子氏はそう指摘する。普段から健康診断や症状の軽い治療でかかりつけ医を探しておくと、急な病気でもあわてず対応できるだろう。病院は移動や治療によるストレスとてんびんにかけて選ぼう。
特徴的な病気とけが
毛球症(もうきゅうしょう)
毛づくろいでのみ込んだ毛が胃の中でペットフードやそのほかのものと絡まり、胃の出口に詰まった状態。症状は急に元気と食欲がなくなり、フンが小さい、出ないなど。自然に治る場合もあるが、悪化すると命に関わる。中高齢のウサギは早めに病院へ。内服薬での治療が中心。予防には普段から干し草を十分に食べさせ、胃の中で粘り気の出るでんぷん質の食事を減らす。抜け毛の手入れや適度な運動も効果がある。
脱臼・骨折
原因の多くはサークルの柵を飛び越えたり、飼い主の抱っこから逃れたりする上下運動。部屋のフローリングで滑り、股関節などを脱臼することもある。犬や猫に比べて跛行(はこう)が見つけにくく、治療のための固定も難しい。事故予防のため、ケージ内のロフト設置や無理な抱っこなど上下運動を促すことは控える。
消化管うっ滞
胃腸の動きが悪い状態が慢性化したもの。原因は不適切な食生活やストレスなどで、他の病気やケガの合併症で起こることもある。食欲が落ち、フンから悪臭がする。悪化すると下痢や、ゼリー状の粘液が出ることもある。予防には、やはり普段から干し草を十分に食べさせ、タンパク質やでんぷん、脂質の高い食事を控える。
斜頸(しゃけい)
耳の奥にある三半規管や脳などの病気。細菌や寄生虫が原因で起こる。症状は目の揺れ、転倒、首が傾くなど。体が不自由になるため消化管うっ滞などの合併症に注意。治療が長期に及ぶことが多く、程度によっては首の傾きが残ることも。
不正咬合(ふせいこうごう)
ウサギの歯は草をはむために伸び続けるが、かみ合わせが悪いと摩耗せず口の中を傷つけてしまう。症状は食べにくそうにする、食欲が減る、食事以外で口をクチャクチャする、よだれが出る。切歯(前歯)の場合、顔の打撲やケージをかむ癖などが原因で起きる。臼歯(奥歯)では、繊維質の少ない食事や歯根の感染症などが原因。伸びた部分を病院で定期的に削る必要がある。予防には、硬すぎるペレットなどの食事を避け、十分な量の干し草を食べさせる。
ウサギの診療比率が高い病院(%はウサギの診療比率)
100%
さいとうラビットクリニック
東京都北区田端5-2-13
TEL03-3822-0097
53%
ももの木ペットクリニック
東京都町田市金森2-19-24
TEL042-732-1862
50%
エキゾチックペットクリニック
神奈川県相模原市中央区東淵野辺1-11-5カサベルグK-101
TEL042-753-4050
LUNAペットクリニック潮見
東京都江東区潮見2-6-1潮見駅前プラザ一番街
TEL03-5632-6566
45%
シンシア動物病院
神奈川県綾瀬市深谷上7-1-3
TEL0467-84-8554
43%
てらぞの動物病院
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-20-13
TEL0422-45-1013
40%
ラパン動物病院
千葉県白井市根123-19
TEL047-498-3036
30%
みわエキゾチック動物病院
東京都豊島区駒込1-25-5
TEL03-5981-9761
メイプル動物病院
東京都府中市西原町2-1-9
TEL042-363-1221
清水動物病院
神奈川県横浜市鶴見区佃野町3-3
TEL045-583-3738
25%
アーリン動物病院
千葉県松戸市小根本77-3
TEL047-703-4833
ドリトル動物病院
東京都板橋区小茂根1-30-7
TEL03-3958-8570
バードクリニック金坂動物病院
千葉県千葉市緑区誉田町3丁目48-4
TEL043-291-3295
20%
ハート動物病院
神奈川県相模原市南区南台4-15-2
TEL042-765-1122
げんき動物病院
東京都世田谷区下馬5-7-10
TEL03-5486-2211
クウ動物病院
大阪府大阪市鶴見区横堤3丁目2-28
TEL06-6912-9870
ハミング動物病院
静岡県浜松市西区志都呂1-36-64
TEL053-489-6701
ダクタリ動物病院浦和病院
埼玉県さいたま市南区別所5-14-25ミリオンパーク1F
TEL048-866-9833
けやき動物病院
東京都国分寺市本多5-3-6
TEL042-328-1099
なみき動物病院
千葉県我孫子市並木7-2-4
TEL04-7184-8948
和歌山獣医綜合病院
和歌山県和歌山市広瀬通丁2丁目6
TEL073-423-7553
いぐち動物病院
静岡県浜松市中区上島6-2-34 バロンドール1F
TEL053-522-9552
19%
浅香山動物病院
大阪府堺市堺区浅香山町1丁3-25
TEL047-703-4833
くぼ動物病院
千葉県成田市玉造7-3-5
TEL0476-26-8184
18%
宮動物病院
千葉県柏市豊住1-3-5
TEL04-7174-5634
15%
K%27s Pet Clinic(ケーズペットクリニック)
東京都町田市能ケ谷4-4-11
TEL042-736-9965
ヴァンケット動物病院
東京都世田谷区池尻3-16-4 SEED池尻101
TEL03-5787-5947
わたりだ動物病院
神奈川県川崎市川崎区渡田1-2-15
TEL044-333-3949
すみれ動物病院
大阪府大阪市福島区玉川2丁目7-2
TEL06-6443-3555
すみれ動物病院 四貫島分院
大阪府大阪市此花区四貫島2丁目19-6
TEL06-6466-0717
will動物病院
東京都八王子市東浅川町527-1 1F
TEL042-683-2788
センターきた動物病院
神奈川県横浜市都筑区中川中央1-38-18
TEL045-914-7920
ひろ動物病院
埼玉県春日部市緑町1-15-21
TEL048-731-1122
キキ動物病院
大阪府堺市中区深井北町117-3
TEL072-276-3555
ウサギのここに気をつけよう
メスなら1歳までに不妊手術を定期的な健康診断で病気を早期発見
多くの動物にはメス特有の病気があるが、不妊手術をしていないメスの中高齢ウサギは、特に子宮の疾患や乳がんの発症率が非常に高い。
子宮内膜過形成のほか、子宮がん、子宮水腫、子宮筋腫、乳がんなど病気の種類も多く、出産経験の有無にかかわらず起きる。斉藤氏によると、3歳ごろから発症することが多く、ピークは6歳。10歳までには99%が発症するという。
「繁殖の予定がないなら、生後6カ月から1歳までに不妊手術を」
斉藤氏は、メスウサギの飼い主に、そう呼びかけている。
生後10カ月までに卵巣を摘出した場合、乳がんのリスクもなくなる。異常のない小さな体にメスを入れるのは気が進まないという飼い主は、定期的な健康診断で病気の早期発見を心がけてほしい。
子宮内膜過形成は、子宮が腫れる病気だ。食欲があり元気なのに、血尿が出る。尿に血の塊が混ざることも。尿の色は無色から濁った赤までは正常で、判断が難しければペットシーツにしみ込んだ尿などを持って、病院に相談を。外科手術で卵巣や子宮を摘出する。
また、子宮水腫は、子宮に水がたまり、おなかが腫れる。悪化すれば消化が悪くなり、呼吸があらくなることもある。重症になると食欲が低下。やはり、外科手術で卵巣と子宮を摘出する。
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