「希望」を体現、夢之丞 殺処分ゼロを目指す活動のシンボル

表彰式で夢之丞を連れてスピーチする筆者
表彰式で夢之丞を連れてスピーチする筆者

 

 6月27日、私は災害救助犬の夢之丞と一緒に、東京・大手町のホールのステージに立った。日本経済新聞社が主催する「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」で、ペットの殺処分ゼロを目指すピースワンコ事業とそれに関連した過疎地振興の取り組みが大賞に選ばれ、表彰式に招かれたのだ。朝日新聞が運営するサイトにはふさわしくない話題かもしれないが、今回はその報告をさせていただく。

 

 同賞は、社会のさまざまな課題をビジネスの手法で解決するNPOや企業などを表彰するもので、今年で4回目。大賞のほかに「国際」「国内」「企業」などの部門賞がある。

 

 ピースワンコ事業では、このコラムにも書いてきたように、ペットグッズショップと連携して保護犬の譲渡センターを運営したり、地域の観光ビジネスと連動した形で命を学ぶ体験プログラムを提供したりしてきた。資金調達の面でも、ふるさと納税制度を使った寄付集めをはじめ、革新的な手法を積極的に取り入れてきた。こうした取り組みが、今年4月から広島県の犬の殺処分ゼロを実現するという成果を生んでいることを、評価していただいたのだと思う。

 

 受賞のスピーチをしながら、私は、傍らにいる夢之丞こそが最大の功労者であるとあらためて感じていた。

 

 一度は人間に殺されかけながら、その人間を助けるために厳しい訓練を積み、2年前の広島土砂災害では血統書付きのエリート救助犬たちに先駆けて遭難者を見つけた夢之丞。彼は、私が目指すものをだれよりもわかりやすく社会に発信してくれた。彼の活躍がなかったら、ピースワンコの活動がこれほど多くの人に知られることはなかった。

 

 当初、私が夢之丞に託したのは、不要だからと安易に犬を捨てる人間に対して、強烈なアイロニー(皮肉)を突きつける役目だった。そういう存在がいないと、人は自分の愚かさに気づかないと思ったからだ。

 

 今は少し見方が変わってきた。夢之丞は、人間にとっても、ひどい扱いを受けている動物たちにとっても、「希望」を体現する存在になったと思う。つまり、殺処分ゼロは本当に不可能ではなくなったし、夢之丞がそのゴールに向かって私たちを先導してくれるような気がするのだ。ステージ上では相変わらずビビリの性格を見せてもいたが、その顔はいつになく頼もしく見えた。

 

 受賞は、過去の仕事の評価ではなく、今後の活動の後押しになってこそ本当の意味がある。殺処分問題や保護犬に対する関心の高まりを切に願うと同時に、私もいっそう気を引き締めて目標の実現に邁進したい。

 

大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この特集について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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