AIBOの技術表彰 「なでる」「たたく」の差を感じ分ける

中山忠親准教授とセンサーが搭載された「AIBO」=長岡技術科学大学
中山忠親准教授とセンサーが搭載された「AIBO」=長岡技術科学大学

 長岡技術科学大学大学院(新潟県長岡市)の中山忠親准教授=無機材料科学=らの研究「人間の感性を有する感触センサーの開発」が、今年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰(技術部門)を受けた。元はソニーの犬型ロボット「AIBO」搭載のために開発した技術で、今は楽器の電子キーボードや電子ペンなどで広く応用されている。

 

 感触センサー(感圧導電性ゴム)は電気を通しにくいシリコンゴムの中に、電気を通すカーボン粒子をまぜてつくる。そのままだと電気は通らないが、圧力を受けて粒子同士がくっつくと電気が通る。圧力が強いほどくっつく粒子の数が多くなり、よく電気が通る。用途によって厚さや形状は変わるが1ミリ程度まで薄くできる。
 

 感触センサーには人間と同じ「感受性」がある。人間がピアノの鍵盤を弾いて音の強弱を表現する際、弱い音のときは弾く力を微細に変えて、音を変えられるが、強い音になるほど弾く力の違いが大まかになる。「感じる方のセンサーも1グラムと2グラムの重さの違いは区別するが、1001グラムと1002グラムは区別しない性能が必要になる」。この性能をナノレベルでカーボン粒子を制御して分散配置することで実現したという。
 

 従来の圧力センサーは、垂直方向からの「押す」圧力にしか反応しなかった。感圧導電性ゴムは全方向からの圧力に反応するため、「たたく」「なでる」「つねる」といった動きも感知できる。
 

 大阪大学の博士課程時代、イナバゴム(大阪市)と感圧導電性ゴムの共同開発をしていたとき、AIBOの頭部につけるセンサーの開発を依頼された。「なでる、たたくなどの圧力を区別できる」「100万回の圧力に耐えうる」などの条件をクリアし、初期の製品から搭載された。「当時はまだセンサーに直接触れることができず、プラスチックカバーの上からだった。今は触っても安全で、軟らかさも人間の皮膚並みになりました」
 

 感触センサーは様々な製品で使われている。電子ペンでは筆圧のわずかな違いを検知し、毛筆のような表現が可能になった。靴店ではオーダーメイドする際に、足の裏にどのように体重がかかるのかを測る装置に使われている。自動車の安全装置、スポーツの測定装置などでの搭載に向けた開発も進んでいるという。
 

 課題は、より微細な動きを感知できるようにすることと、黒以外の色の開発。「性能を変えずに色のバリエーションを増やすのは非常に難しい。実現すればもっと多くの製品に搭載されるでしょう」

 

(伊丹和弘)

 

中山忠親准教授とセンサーが搭載された「AIBO」=長岡技術科学大学
中山忠親准教授とセンサーが搭載された「AIBO」=長岡技術科学大学

 

朝日新聞
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